不動産の「来店不要取引」がいま俄然注目の訳

普及局面に加え、新型コロナでも注目されるか

2013年にリコーイメージングが360度パノラマ写真を簡単かつ安価に撮影できるコンパクトな全天球カメラ「シータ」を発売。2015年頃からクラウドサーバー上にVRコンテンツを登録して、ネットを通じて手軽に閲覧できるサービスが始まり、2018年には不動産分野に特化したスタートアップ企業のナーブやスペースリーなどが参入。賃貸物件のパノラマ写真を撮影する代行サービスなども登場して普及し始めている。

不動産仲介会社にとってVR内見のメリットは、実際に現地までお客さんを案内して物件を見てもらう内見業務の負担軽減だ。ナーブによると、契約までの内見件数は導入前3.1件だったのが、導入後は1.3~1.4件と、半分以下に削減できているという。

スケジュール調整はネット予約で

面倒だった内見スケジュールの調整も、GAテクノロジーズ子会社のイタンジが2017年に内見の「ネット予約」システムを開発。お客が自分の都合のいい時間を選んで予約できるようになった。さらにスマホで鍵の開閉ができるスマートロックを提供するライナフやビットキーなどが賃貸物件に取り付けて立ち合いなしに内見できる「セルフ内見」のサービス提供を開始し、昨年から普及が始まった。

国交省でも、宅地建物取引業法(宅建業法)により対面で行うことを義務付けていた重要事項説明(重説)を賃貸取引ではネットでも認める「IT重説」を2017年10月に解禁。賃貸契約の書面交付を郵送で行えば、対面なしに賃貸契約できるようになったが、VRやスマートロックなどのIT活用で、インサイドセールスを本格導入できる環境が整ってきたと言える。

昨年10月からは賃貸取引の電子契約と、個人の不動産売買取引時のIT重説の解禁に向けた実証実験がスタート。書面なしの電子契約に移行するためには宅建業法改正が必要となるため、実証結果を踏まえて具体的な検討を開始するところだ。

不動産分野でインサイドセールスが注目され始めた背景には、消費者行動の変化がある。スマホで手軽に不動産情報を入手できるようになり、ネットからの問い合わせが増えているのだが「反響が薄くなって成約につなげるのが難しくなった」――そんな悩みを語るのは、リクルート出身でアメリカネット不動産大手、MOVOTO社の市川紘副社長だ。

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