タイムリミットは1年、大阪都構想の実現度 橋下氏は民意を味方につけられるだろうか
維新側が区割り案を1案へ絞り込む提案をしたところ、公明党は4案での議論継続を主張。この姿勢について橋下氏は「都構想を廃案に追い込む戦術。選挙に持ち込んで都構想潰しの候補者を立て、巻き返すつもりだ」と批判。維新議員らも一様に「(公明党は)橋下人気がなくなったので、来年4月の統一地方選に向けて、勢いのある自民党側についた」と指摘する。
しかし、公明党・大阪府議団の清水義人幹事長は真っ向から反論する。あくまで「大都市制度の問題意識は維新と共通している」と強調し、橋下氏の議論の進め方に異議があると訴える。「たとえば橋下さんは5区に分割すれば7区の分割案より財政収支改善が進むと言うが、住民に身近なサービスを行えるのは7区の分割案。基礎自治体のあり方など、不十分な議論が多い」。いずれにしても、かつて協働していた両者の言い分がまるでかみ合わないことが、有権者から見た「わかりにくさ」となっていると言える。
市長選の意義についても、言い分が異なる。橋下氏は、当初の予定どおり14年夏までに区割り案を1案に絞り込み、都構想の具体的な内容を盛り込んだ「協定書」を作成する狙い。そのためには、市長選での再選という民意の後押しが不可欠との立場だ。一方、公明党の清水氏は「法定協議会がうまく進まないから市長選だなんておかしい」と批判する。
橋下氏は市長に再選すれば法定協議会のメンバーを入れ替え、協定書作成に持ち込む構え。ただ、その後の住民投票に向かうためには、府・市議会の採決という関門が待ち構える。両議会で単独過半数に満たない維新には公明党の協力が不可欠だ。
前出の清水氏は、「前回の市長選と今回とで得票数に大きな差があれば、橋下さんの議論の進め方に市民がNOを出したということ」とし、再選を果たしただけでは、採決の支持に回る理由にはならないとくぎを刺す。
地道な街頭ミーティングによって、どこまで市民の理解が広がるのか。各党の思惑が交錯する中、橋下氏の拠り所とする「民意」は3月23日に明らかになる。
(週刊東洋経済2014年3月22日号〈3月17日発売〉 核心リポート02)
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