トヨタが「トミカ」と仕掛ける愛車戦略の裏側

スープラ責任者「ミニカーの大切さ気づいた」

「車、とくにスポーツカーは、発売しても本物をなかなか買うことはできない。まずは車を好きになってもらい、スポーツカーのカルチャーを広めるうえで、ミニカーの大切さに気がついた」。GRスープラの開発責任者を務める多田哲哉氏は、事業にとってのトミカの重要性についてそう語る。

トヨタから“トミカ化”を依頼

これまでもトヨタは、自社主催のモーターレースでタカラトミーにスポンサーを依頼するなど関係を築いてきた。そして2019年、新車発売にあわせてトミカを開発してもらうという取り組みに乗り出した。

通常、トミカの新製品を企画する際には、タカラトミー側が自動車メーカーなどに車の3Dデータをもらったり、自ら実車の取材、撮影をして情報を入手し、ミニカーのデザインに落とし込むのが一般的だ。そのため、実車が発売されてから数年後にトミカになることも珍しくない。

2019年5月に発売されたトヨタの「スープラ」(撮影:尾形文繁)

それが2019年5月に発売された新型スープラの場合、発売の1年前からトヨタがタカラトミーに車両のデザインデータを渡し、“トミカ化”を依頼。その結果、5月に新型スープラが発表された際には来場者にトミカが配布され、8月には店頭にも並んだ。

「車を買ってもらうためのマーケティングは、(消費者の年齢が)低ければ低いほどいい。子どものころに(ミニカーを通じて)スポーツカーに憧れを抱いてもらうことで、成長してからも“愛車”という感覚が生まれやすくなるのではないか」(多田氏)

実際、タカラトミーが2018年に20~60代の900人を対象に行った調査によれば、トミカで遊んだ経験のある20~40代の親と子の自動車の所有意欲(すでに所有している場合も含む)が、所有しない人も含む全体と比べて6%高い84%だったという結果も出ている。

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