トヨタが「トミカ」と仕掛ける愛車戦略の裏側 スープラ責任者「ミニカーの大切さ気づいた」

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もちろん、タカラトミーにとってもうまみは大きい。前出の岸田氏は、「トヨタが大々的に宣伝してくださったこともあり、トミカの売れ行きも結果的に好調だった」と語る。こうした自動車メーカーからの打診を受けての商品化は、トヨタのみならず、「日産GT-R NISMO 2020年モデル」など他社でも行われており、年々依頼の件数は増加しているという。

CASE時代を見据えた商品

トミカが力を入れているのは自家用車だけではない。車がサービスとして利用される「CASE」の時代を見据えたラインナップも視野に入れる。

今年中には「e-Palette」のトミカが発売される(撮影:尾形文繁)

その1例が、トヨタの多目的自動運転車「e-Palette」のトミカ化だ。今夏に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックで実用化される予定の同車は、トミカとして今年中に発売される予定だ。

【2020年2月17日12時25分追記】e-Paletteのトミカの発売時期を修正いたします。

岸田氏は、「トミカは、これまでも自動車業界の変遷とともに展開してきた。車を所有せずにサービスとして利用する、いわゆる『CASE』の時代になったら、トミカもその潮流に乗っていきたい」と語る。

大きな変革期を迎えている自動車業界において、今後も消費者の間に車を愛好する文化を醸成し続けることができるのか。定番シリーズで1台450円の小さなおもちゃが、意外にもカギを握りそうだ。

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

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