トヨタが「トミカ」と仕掛ける愛車戦略の裏側 スープラ責任者「ミニカーの大切さ気づいた」
累計販売車種は約1050種以上、累計販売台数は約6億7000万台以上――。
日本で海外製のミニカーが子どもたちの人気を博していた1970年、旧トミー富山允就社長の「なんとか国産車のミニカーを作りたい」という思いから生まれたミニカーの「トミカ」が、2020年8月に発売50周年を迎える。
タカラトミーにとってトミカは、人形「リカちゃん」に並ぶロングセラー商品だ。トミカ事業単体の業績は公表されていないが、「売上高は右肩上がりで、2017、2018年度も過去最高を更新した」(ベーシック事業部トミカマーケティング部長の岸田敬氏)。
既存シリーズに加え、車の塗装やデザインにこだわった高価格帯の「トミカプレミアム」や、ディズニーやサンリオといった人気キャラクターとコラボした「ドリームトミカ」など、シリーズを拡大し、大人のマニア層や女性にも客層が拡大しているのが、好調の理由だ。国内に加え世界20の国と地域でも発売しており、とくに台湾や中国、日本車ブームに沸く北米で販売台数を伸ばしている。
この定番おもちゃに今、国内の大手自動車メーカーが熱視線を送っている。
スポーツカーの開発責任者が一堂に会す
1月半ばに開催されたトミカ50周年の記者発表会。壇上には、ゲストとしてトヨタ「GRスープラ」開発責任者の多田哲哉氏、ホンダ「シビック TYPE R」開発責任者の柿沼秀樹氏、日産「GT-R」商品企画責任者の田村宏志氏が顔をそろえた。
3社のスポーツカー開発責任者が一堂に会したのは、トミカ50周年を記念した限定デザインのトミカを発表するためだ。4月に発売される「ホンダ シビック タイプR」の限定デザインのトミカを皮切りに、6月に「トヨタ GRスープラ」、8月に「日産 GT-R」のトミカを投入していく予定。それぞれのデザインは、社内の現役デザイナーの案を特別に起こしたものだ。
自動車メーカー大手3社がトミカ50周年の“お祝い”に力を入れるには理由がある。若い世代を中心に「車を所有しなくていい」という価値観が広まる中、対象年齢3歳以上と幼児から遊べるトミカが、マーケティング上より一層重要性を増しているのだ。
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