アメリカの経済政策を批判する人たちの誤り--ブラッド・デロング カリフォルニア大学バークレー校教授



共和党が勝利していたら世界経済はどうなったか

そうした政策の問題はあるが、この2年半の政策は優れていた。1929~30年の金融ショックよりも大きいショックが、当時よりも脆弱になっている現在の金融システムに襲いかかったのである。

しかし、失業率は大恐慌時には24%にまで上昇したのに対し、今回は10%前後で収まりそうだ。非農業部門の失業率も30%まで上昇せず、10・5%で天井を打ちそうだ。それにアメリカでは、90年代に日本が経験したような“失われた10年”という事態に陥ることを回避できそうだ。大恐慌と比べると、今回の危機は深刻度が低かったことは確かだが、アメリカ政府は危機脱却に成功したのである。

ここで一歩下がって、「政府が銀行支援に反対している人々の要求を受け入れていたら、現在の世界経済はどうなっていただろうか」と問うてみるのは意味あることだ。「不良資産救済プログラム(TARP)」と財政刺激策に反対する共和党が勝利を収めていたら、世界経済はいったいどうなっていたのだろうか。

歴史的に似た状況が起こったのは大恐慌のときである。大恐慌は、金融危機が長期的かつ広範に銀行破綻の連鎖を引き起こし、政府がシステム全体を支えるために介入せず、民間銀行への支援も行わなかった唯一の例である。 
 ベアー・スターンズが破綻し、2008年3月16日にFRBから300億ドルの資金支援を得て、JPモルガン・チェースが同社を買収してから18カ月が経った時点の工業生産は、07年のピークを14%下回っていた。これに対して1930年12月11日のバンク・オブ・ユナイテッド・ステーツの破綻から19カ月経った時点の工業生産は、29年のピークを54%も下回っていた。

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