アメリカの経済政策を批判する人たちの誤り--ブラッド・デロング カリフォルニア大学バークレー校教授

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 最近の経済政策に反対する人は、政府の介入と支援がなければ経済は大恐慌のときと同じ程度落ち込んでいた可能性があるという仮説を否定している。要するに、彼らは現在の経済は安定しており、簡単には崩れないというのである。市場システムは、人々が取引し、資源を生産的に利用する最善のインセンティブを与える復元力のあるネットワークである。したがって工業生産が07年のピークから54%も落ち込む事態は想像できないというのである。

その主張が正しいのなら、政府が拡張的な財政政策の実施や破綻金融機関の国有化を拒否し、金融資産の購入を拒んでも、事態が悪化することはないという結論が導き出される。

ただこの主張には問題がある。市場経済の下では大恐慌のように深刻な不況は起こらないとう理論的な説明は、現在と同じように30年代でも主張されていたということだ。しかし、その主張にもかかわらず大恐慌は起こった。そして今回も大恐慌が起こる可能性はあったのだ。

Brad Delong
1960年生まれ。ハーバード大学で経済学博士号を取得。93~95年に財務副次官補として93年度予算、GATTウルグアイ・ラウンド、医療制度改革に携わった。97年から現職。政治・経済のブログ「Grasping Reality with Both Hands」でも有名。

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