不倫がこんなにも世の中の関心事になる理由

週刊誌、ドラマ、ネット…止まらない連鎖

人々が不倫に引かれる理由の1つに、ストレス社会とネットの普及が挙げられます。

日々の生活が便利になった反面、格差、競争、監視、管理、同調などの窮屈さを感じやすく、ストレスを抱えやすい世の中になりました。また、人間には「人から被ったストレスは、人で解消しよう」という心理傾向があり、不倫当事者のような悪と認定しやすい人を「バカにしたり、罰したりすることで解消しよう」という感覚に陥りがちです。

例えば、会社の上司から受けたストレスは、基本的に趣味や食事などの1人で行えることでは完全に解消できません。ストレスが心の中に残るため、不倫当事者のような悪と認定しやすい人に罵声を浴びせることで解消しようとします。また、そうした行動を好まない人は、ドラマの悪役が成敗される姿を見て溜飲を下げるなど、やはり人から受けたストレスは人が関わるもので軽減させようとするものです。

ネットの普及で個人が発信できるようになったことも、不倫という言葉を肥大化させました。不倫報道があると必ずと言っていいほど、「許せる、許せない論争」が起こりますが、ネットでは全面的に賛成や反対されるものより、賛否両論のほうが盛り上がりやすく、それが続くほど不倫という言葉が世間の共通語となっていくのです。

「不倫という言葉をよく見るようになった」から、「会話の中でよく聞くようになった」から、今まで不倫に関心がなかった人も簡単にはスルーしなくなりました。「どんな不倫なのだろう」と気になり、記事や番組を見たことで、「私はこう思う」と自分の意見をネット上に書き込む人は少なくないのです。

身近なものだがファンタジーでもある

ここまで不倫当事者を「批判したい」「罰したい」という人間心理を挙げてきましたが、人々の感情は一面的ではなく複雑なもの。嫌悪感や正義感だけではなく、「もし不倫したら」「不倫してみたい」という真逆の感情を消し去れないからこそ、不倫は関心事であり続け、世間の共通語となっているのです。

不倫に批判的な人も、「不倫は誰にでも可能性があること」「隣家の夫や隣の同僚が不倫しているかもしれない」という身近なものであることは否定できないでしょう。しかし、身近なものであるにもかかわらず、現実的には不倫しない人のほうが圧倒的に多いファンタジーのようなものでもあり、だからこそ引かれやすいのです。

また、罵声を浴びせる人が多いのは、「ほどほどの悪事だから」という側面もあるでしょう。前述したように不倫は刑事罰を受ける犯罪ではないため、「しょせん不倫は第三者がどんなにたたいたところで、当事者は命を取られるわけでも、社会的に抹殺されるわけでもない」ことを多くの人々は知っています。

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