不倫がこんなにも世の中の関心事になる理由 週刊誌、ドラマ、ネット…止まらない連鎖
たとえば、東出さんをどれだけたたいても、現在の地位や活躍の場を奪えるというだけで、その効力は限定的。東出さんの姿勢や努力次第ではありますが、遅くとも数年後にはチャンスが得られる状態に戻るでしょう。東出さんに罵声を浴びせている人の大半は、「しょせん不倫」という悪事の程度をわかったうえで声をあげ、「他人がどうこう言う問題ではなく当事者間の話」であることも理解しているはずです。
普通の恋愛・結婚では反応されない
最後に、メディアが不倫ネタを重視している背景を挙げていきましょう。
恋愛が最大の関心事だったころは、普通の恋愛・結婚でも記事や番組にすることで関心を集め、一定以上の成果を得ることができました。しかし、個人の関心事が分散し、趣味嗜好も細分化した現在の世の中は、恋愛・結婚に占めるウェートが大幅に減少。
普通の恋愛・結婚では一部の人々の関心しか集められず、不倫のような際立ったものでなければ多くの人々から反応してもらえなくなりました。メディアもビジネスである以上、多くの人々が反応するネタを選ぶのは当然なのです。
また、芸能人や政治家のような好感度をベースにした職業は、不倫報道で生じるマイナスギャップが大きく、「裏の顔を明かした」というスクープの要素が色濃くなります。そのため私の知人記者たちの中には、有名人の不倫ネタをつねに持っている人が少なくありません。よりセンセーショナルな印象を与えるために、詳細をつかんで臨場感を出し、決定的な写真を撮り、最良のタイミングを見計らって世に送り出そうとしているのです。
メディアにとって不倫は、「当事者が3人いるため、それぞれの立場から続報が出しやすい」こともポイントの1つ。実際、「文春オンライン」が先週は不倫した鈴木杏樹さんと喜多村緑郎さん、今週は貴城けいさんにクローズアップした記事を出し、「NEWSポストセブン」も喜多村さんの新たな不倫疑惑を報じたことがそれを物語っています。
次にテレビドラマにおける不倫の狙いは、人間の業や罪、怒りや赦しなどを描きたいから。とくに「踏みとどまるか、感情に流されるか」「怒り狂うか、許そうとするか」などと葛藤するシーンはドラマティックであり、大きな見せ場になっています。
冒頭に挙げた「知らなくていいコト」も「踏みとどまるか、感情に流されるか」が描かれましたし、それを見た視聴者の「ホントはダメなことだけどいいシーンだった」「不倫はドラマで見て楽しむもの。実際にやっちゃダメ」などの好意的なコメントが見られました。不倫を扱うドラマは昭和のころからありましたが、かつては劇薬のように扱われていたのに、現在は常備薬のような日常的なものとして描かれているのです。
晩婚化や離婚率が上昇する一方で、独身者が増え、スマホを使って連絡が取りやすくなったりなど、以前よりも不倫がしやすい世の中になりました。だからなのか、不倫への風当たりが強くなっても、不倫願望のある人は減っていませんし、不倫をする人は繰り返しがちなだけに、まだまだ不倫報道や不倫を扱った番組は続くのではないでしょうか。
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