ソフトバンクG「大赤字決算」が映す根本的難題

戦略的持ち株会社としての戦略は大きな後退

次にWeWork。同社株式2019年9月末の評価額が78億ドル(約8570億円)だったのに対して、2019年12月末の評価額は73億ドル(約8020億円)に下落したことが開示された。投資先の価値が下落し、投資事業のビジョン・ファンドからの営業損失が2251億円になったと開示された一方で、注目を集めていたオヨについては個別の情報は開示されなかった。

オヨの事業については、ホテルオーナーとのフランチャイズ契約の恣意的な変更、高い手数料、宿泊料のディスカウント、大規模なリストラ、あるいはオヨが主張するようなフランチャイズ契約の高更新率は本当なのかといった指摘が、特に成長著しいインドや中国でニュースとして流れている。

急成長のための無理なコストでの客室確保やアグレッシブな営業活動は収支上本当に正当化される水準であるのか、バランスシートは適正な水準であるのか、WeWork問題で起きたコーポレートガバナンスの問題は起きていないかなどが懸念されていたが、やはり未上場企業ということで個別の開示がなされなかったことは投資先の透明性や説明責任という点で今後の大きな課題として残った。

ビジョン・ファンド2号について孫正義社長は12日の決算会見で、規模を縮小すると明らかにした。出資予定額の約1080億ドルも白紙にし、期間の短縮化も検討すると述べた。

「今回は規模を縮小してやるべきだ」

筆者には、「反省も含めて、今回は規模を縮小してやるべきだ」との孫社長の言葉が印象に残った。戦略的持ち株会社を自称し、ビジョン・ファンドを中核事業としてきたSBGにとっては大きな後退と言えよう。もっとも、SBGとしては、WeWorkの企業再生、さらにはその他の既存投資先のなかでも、特に孫社長が高く評価することで「神聖化」されていた企業で、問題が顕在化することを防いでいくことのほうが優先順位は高いのは確実だろう。

ウォールストリート・ジャーナルは、2月6日、エリオット・マネジメントがSBG株式を25億ドル以上取得したと報じた。エリオットは、SBGの企業価値が毀損されているとして、ガバナンス向上、ビジョン・ファンドの透明性の高い投資決定、自己株取得等を通じて株価を高めることを求めているという。

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