ソフトバンクが抱える「財務」最大のリスク要因 借り入れを生かす戦略が逆回転しかねない

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ソフトバンクグループの金融財務戦略から発生する恐れがあるリスク要因とは(撮影:梅谷 秀司)
ソフトバンクグループは今や投資会社へと進化を遂げていますが、その象徴が10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドです。同ファンドを通して多くの企業に投資が実行されています。
一方で、2019年7~9月期の連結決算では約7000億円の営業損失を計上。その原因こそ、ソフトバンク・ビジョン・ファンドをはじめとする投資事業での損失でした。
拙著『ソフトバンクで占う2025年の世界』でも詳しく解説していますが、本稿では、ソフトバンクグループの最大の特徴である金融財務戦略を概観したうえで、そこから発生する恐れがあるリスク要因について考察したいと思います。

ソフトバンクグループは「テクノロジー×金融財務」

ソフトバンクグループは、これまでの成長過程の要所、要所で巨額を投じて新規事業に参入したり、企業買収を行ったりしてきました。

これまでを振り返ってみると、パソコン用ソフトの流通業からスタート、アメリカのヤフーに投資を行ってヤフー・ジャパンを設立したことでインターネット企業となりました。

その後、ヤフーBBでブロードバンド事業に参入。日本テレコム、ボーダフォン日本法人を買収して固定電話とモバイル両方の通信事業者となります。さらに、スプリントを買収してアメリカの通信事業に参入。2015年にはソフトバンクからソフトバンクグループへ社名変更し、純粋持ち株会社としての位置付けを明確にし、翌年9月には約3.3兆円でアームを買収しています。

現在、「戦略的持ち株会社」であるソフトバンクグループはソフトバンク・ビジョン・ファンドを立ち上げ、投資会社としての性格を強く持つに至っています。

こうした巨額投資や巨額買収、あるいは10兆円規模ものソフトバンク・ビジョン・ファンドの運用を可能にするのがソフトバンクグループの金融財務戦略です。成長の節目や大転換期には必ず金融財務戦略がともにありました。ソフトバンクグループは「テクノロジー×金融財務」企業であり、金融財務戦略に非常に特徴がある企業なのです。

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