「ハスラー」と「ジムニー」の似て非なる価値観 ボディや車内、走りにおける相違点とは?

拡大
縮小

そもそも、ハスラーが初代モデルから採用している丸目2灯ヘッドライトは、ジムニーに寄せたものだ。さらに、新型ハスラーは初代モデルと比べて、ボティ全体をスクエア(四角形状)としたことも、ジムニー似になった大きな要因である。室内空間を広げることは当然ながら、ジムニーイメージの踏襲も意識した結果だ。

2台の間で最も似ていないのは、リアビューだ。

背面スペアタイヤと横開きバックドアは「ジムニー」の特徴(写真:スズキ)

ゲートの開閉方向が上下と左右と異なり、またリアコンビライトが高い位置の縦型と低い位置の横型という違いがある。そして、ジムニーがスペアタイヤを背負うことが、リアビュー全体の印象を大きく変えている。

車内でも、相違点と共通点がある

写真撮影の位置決めのため、ハスラーのハイブリッドターボXとハイブリッドXそれぞれとジムニーを短時間に何度も乗り換えてみると、かなり大きな違いを感じた。

最も大きな違いは、ヒップポイントの高さだ。目線は当然、ジムニーのほうが高いことは予測できたが、ハスラーはお尻がストンと落ちる感じがするほどヒップポイントが低い。初代ハスラーと比べてマイナス7mmだと言うが、「腰の据わりのよさ」による低さ感がある。

ワクワクを刺激する“プロテクト感”

もうひとつの大きな違いは“密閉感”だ。

ハスラーは、ドアが上級車のようにバッスンと閉まり、さらに吸音と遮音によって車内の静粛性はエンジンをかけない状態でも実感できる。

「ハスラー」の車内は2代目になりよりタフさが強調された(筆者撮影)

対するジムニーは、少々大げさな表現をすると、まるで屋外にいるような感じだ。ハスラーのような密閉感は低い。タフさというより、ワイルドな印象がある。

別の見方をすると、2車の車内の雰囲気に共通点を感じる部分もあった。スズキが“プロテクト感”と呼ぶ部分だ。これは、一般的に“囲われ感”とも呼ばれる種類の感覚のこと。

ヒップポイントや目線の高さは違うが、両車とも運転席からの前方視界は水平方向が強調されている。そして、少し高めの位置にあるダッシュボードと横長の形状のフロントガラスによって、外部からプロテクトされている感じが、ドライバーのワクワク感を刺激するのだ。

次ページジンワリのジムニー、ダイナミックなハスラー
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT