スズキの「初代ハスラー」は何を残したのか

新型登場で振り返るその功績とライバルたち

2014~2019年にかけて販売されたスズキ「初代ハスラー」(撮影:大塚一仁)

2013年の東京モーターショーに参考出品車として姿を現し、同年のクリスマスイブに公式発表。翌2014年の1月から販売が始まった初代スズキ「ハスラー」のデビューは衝撃的だった。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

軽自動車ハイトワゴンとSUVをドッキングした商品企画で、クロスオーバーSUVワゴンというジャンルを確立。遊び心あふれるデザインやアクティブな雰囲気を持ちつつ、室内の広さや実用性は同社の主力モデル「ワゴンR」と同等という、絶妙なバランスを備えたモデルだったのだ。

たしかに、2004年に発売された三菱「eKアクティブ」などハスラー以前にも同様のコンセプトを持つモデルはあったが、ハスラーが新しかったのは、その「独自性」だ。

実用性と「楽しさ」のバランス

eKアクティブは、あくまで「eKワゴン」と同じボディを使って、車高アップや大径タイヤの装着、車体下部への樹脂部品の取り付けなどでSUVテイストに仕立てたモデルだった。対してハスラーは、メカニズムや車体の基本構造をワゴンRと共用するものの、ボディ自体は専用に設計されたものだったのだ。

2004年に発表された三菱「ek アクティブ」(写真:三菱自動車)

もうひとつ、初代ハスラーの成功の理由として、時代背景もある。eKアクティブのデビュー当時は、まだSUVブームが盛り上がってはいなかった。しかし、初代ハスラーの販売がスタートする2014年頃には、SUVの勢いが急上昇。流行として街に背の高いクルマが増えてきたことで、軽自動車にもSUVテイストのクルマが受け入れられる土壌が整い、ハスラーにとって追い風となった。

初代ハスラーは、ワゴンRと比べると乗り心地の悪さなどウィークポイントもあったものの、発売するや大ブレイク。デビューから数年は、年間約10万台前後というハイペースで売れ続け、その後はペースが落ちてきたとはいえ2019年11月までの約9年間で累計47万6918台を販売した大ヒット作である。

「実用性は譲れないが、楽しいクルマに乗りたい」というニーズを上手に捉えた商品企画の勝利だ。

次ページ大量受注に生産が追いつかなかった理由
自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • インフレが日本を救う
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • 若者のための経済学
トレンドライブラリーAD
人気の動画
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
ウーバーイーツ配達員の過酷
ウーバーイーツ配達員の過酷
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
ホンダ「インテグラ」復活が日本で話題になる訳
ホンダ「インテグラ」復活が日本で話題になる訳
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
空き家にさせない!<br>実家のしまい方

少子高齢化や核家族化、過疎化で今や7戸に1戸が空き家に。放置された実家はもはや相続したくない迷惑資産。売るか、貸すか、それとも活用するか。実家の片付けから空き家の再生まで幅広く取り上げ、対策例をご紹介します。

東洋経済education×ICT