正社員は既得権益か? 湯浅誠氏・城繁幸氏が、雇用、セーフティネットを巡り徹底討論

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湯浅 確かに、正社員クラブの弊害で非正規労働者や女性が不利益を被っている。この岩盤は壊していくべきです。ただ問題の立て方として、正社員の解雇規制がスケープゴート的に使われている気がします。

プロスポーツに例えると

 よくプロ野球の話をするのですが、選手は成績が上がらなければ賃下げや解雇もされます。ですがプロ野球に非正規雇用の選手はいませんよね。ある球団の選手全員が給与を切り下げられワーキングプア球団になったりしていませんよね。それは球団はペナントレースに勝つことを求めて経営するからで、企業についても同じですよ。

湯浅 その考えは危険だと思います。純粋な競争原理が貫徹できるプロスポーツの世界は、社会のごく一部なんですよ。その原理ですべて成り立つとなれば、それこそ何の規制もいらないし、完全な自由放任がベストでしょうが、人生はプロスポーツではない。誰でも最低限の生活は確保されないと困ります。セーフティネットもいらないし、人がバタバタ死んでも仕方がないということになりませんか。

 私は仕事も全部プロスポーツと同じだと思っています。日本はたまたま運よく高度成長期を遂げられたから、皆気づかずにやってこれただけで、一皮めくれば実態はシビアなプロスポーツと同じ競争原理で動いていると思います。少なくとも中国人やインド人はそう考えて挑んできている。その中で国が最低限のセーフティネットは張らねばならないとは思いますよ。

湯浅 だけど国家の中に企業もあるわけですよ。企業は治外法権ではありえないんですよ。

 ただ企業は国籍をいくらでも変えられます。企業だけに全部任せるのは間違いだと思います。

湯浅 変えられるでしょうが、輸出型の大企業も日本人を雇用して日本の消費者を相手にして国際企業に成長したわけですよね。そのくせ税金の安いところに国籍を移すとしたら、その姿勢やモラルを社会は許容すべきではありません。

 でもそれは「べき論」ですよね。中国は従ってくれますかね。

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