韓国、進まない宗教界への課税

聖職者天国?6月の地方選挙意識、法案が国会通らず

文化体育観光省によれば、2011年末時点で全国の聖職者数は約38万。このうち、政府が推定する課税対象者は7万6000人だ。勤労所得ではなく「その他所得」としたのは、聖職者の宗教活動を「勤労」と見なすことに反発する宗教界を意識したものだった。しかし、法的には聖職者・教職者は勤労者だ。「労働組合及び労働関係調整法」は、「勤労者は職業の種類を問わず、賃金や給与、その他これに準ずる収入によって生活する者」と規定している。

判例もある。2010年末に教会の伝道師が教会の体育館の内装工事を行っていたところ、転落して死亡した事件があった。この事件に昨年5月、春川地方裁判所は「教会側から勤労の代価として毎月定期・固定的な給与を支給されていた事実は認められる」とし、「従属的関係において教会に常時勤労を提供しており、労働災害保険法上、勤労者に該当する」との判断を出している。

「落選運動」を取り出し、反対する宗教界

宗教界の一部で、課税に反対する声が強まった。2月6日、大韓イエス教長老会(プロテスタントカルヴァン派)合同牧会者納税対策委員会は、「宗教人への課税が宗教の自由を侵害する」とし、反対の立場を固めた。落選運動を持ち出す団体も登場した。韓国基督教市民連合は2月11日、「今回の臨時国会で宗教人課税に主導的な役割を行った政党について、1000万キリスト教者が落選運動を展開することを警告する」と明らかにした。政治家のアキレス腱を狙ったものだ。

昨年に政府が国家に提出した法案は、租税の公平性からみると問題が多いという指摘もある。政府案は、宗教人所得の80%を必要経費(収入を得るために支出された経費)と認めるものだ。この場合、一般の勤労所得者と比べると負担が小さい。もし、年俸1億ウォンの勤労所得者は年間741万ウォンの所得税を負担するが、宗教人は115万ウォンの負担で済む。

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