韓国、進まない宗教界への課税

聖職者天国?6月の地方選挙意識、法案が国会通らず

しかし、これさえも昨年末の国会で通過しなかった。国会企画財政委員会は課税趣旨には共感する雰囲気だったが、所得項目や課税方式など課税インフラが不足し、社会的議論がさらに必要だとの理由で今年2月の臨時国会に先延ばしにした。政府は当初、法案より後退した改正案を再び用意した。「その他所得」として設けようとした項目の名前を「宗教人所得」に替え、所得水準による累進課税(課税標準の6~38%)を適用する一方、所得控除も認めるという内容を含めた。

だが予想通り(?)、2月の臨時国会での法案処理もうやむやとなった。これは、世論や国民の思いとはかけ離れたものだった。企画財政省のキム・ナクヒ税制室長は「所得税を課税すること自体に反対する一部団体があるが、全般的には今回の案に宗教界は同意した」と打ち明ける。基督教倫理実践運動が最近、改新教(プロテスタント)、仏教、天主教(ローマカトリック)、無宗教人1000人に調査した結果、85.0%が宗教人課税に賛成している。企画財政省は今年4月の臨時国会で宗教人課税を再び推進すると明らかにしているが、国会の壁を越えることができるかは未知数だ。

選挙を意識、課税に及び腰の国会議員

宗教人課税が再び座礁した理由は、宗教人所得の把握もきちんとできない課税インフラを整備しないまま、敏感な問題を持ち出した政府に問題がある。だが、宗教界の反発に直面し、より正確に言えば、票を意識した政治家の責任が大きい。国会議員の本音がわかる話を紹介しよう。昨年12月9日、国会企画財政小委員会第3回議事録には、以下のような発言が出てくる。

イ・マンス議員(与党セヌリ党)
「10年前に宗教人課税をある討論会で主張したが、数日間は宗教人からの電話に苦しめられた。それは今も変わっていない。そのため、いったん基礎所得として課税してみて、定着すればまた漸進的に……」

ナ・ソンリン議員(同)
「結局は、これ(宗教人課税)を導入すれば、叱られるのは現在の政権です。来年の選挙(今年6月の地方選挙)も控えています。大波乱が起こりえます。…いまでも反対する人間(宗教人)が多い。私が思うには、自ら納税するという宗教人から課税していくのが、はるかにいいでしょう」

議事録を見ると、同委員会所属の議員の多くが宗教人課税の実施に賛成している。いったん実施した後、試行段階で発生する問題を正していけば定着するだろうという主張も多かった。また、これまで多くの宗教人と団体が課税に賛成する立場を表明している。しかし、「落選運動」「宗教弾圧」を叫ぶ一部宗教団体の反発が足かせとなって、間もなくやってくる地方選挙を恐れて「無法の聖域」を放置している。そうして、45年が過ぎた。

(韓国『中央日報エコノミスト』2014年3月3日号、『中央日報エコノミスト』は『週刊東洋経済』と提携関係にある韓国有数の経済誌です)

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