雑談が下手な人はまず「相づち」ができていない 話していてラクな人はいったい何が違うのか

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そのときは、相手のキャラクターを把握するという意味で、相手が自分とどれほど思考が違う人間なのだろうかという、ちょっと俯瞰的な目線で雑談をしてください。そうすると、その雑談の相手が、体育会系の人物、ナルシシストな人物、甘やかされて生きてきた人物、素人お笑い評論家など、どういった傾向の人物なのかが見えてきます。

すると、どういった理由であなたがその人を苦手と感じているのかがわかります。そうすれば、その人とどう接すればいいかも見えてきますし、そもそも気持ちがラクになります。これがいったん相手を信頼するということです。

さて、話は少し変わりますが、明治大学教授の齋藤孝さんが、「社長の仕事は雑談と決断」と述べられています。これをインプロ的に解釈すると、2つの理由が挙げられます。

1つは、社長は相手のキャラクターをつかみ、適材適所に配置しなければならないからです。そして、もう1つの理由は、社長は自分の好き嫌いに関係なく、さまざまな人の力を借りる必要がある立場なので、自分の苦手な人のキャラクターを把握し、上手に関わっていかなければならないからです。

つまり、社長の仕事は、基本的には「誰に何をさせるかを決断すること」なのですが、そのために、「この人はどういう性格なのか?」「あの人は、どういうことなら興味を持って取り組めるのか?」といった、さまざまな人のキャラクター情報を、雑談を通じて日々収集しているというわけです。

だから、優秀な社長ほど、器が大きく、部下のやる気を上げるのもうまく、取引先の嫌味もノラリクラリとかわして最終的に味方にしてしまう、そんな傾向があるのです。

雑談上手は「あいづち上手」でもある

「肯定的なリアクションをしてくれる人を、人は話しやすい人と感じる」という原則があります。その肯定的なリアクションの中でも、最も相手に伝わりやすいのが「あいづち」です。

しかし、雑談がつまらない人は、短い受け答えだけでは失礼ではないかと思い込み、何か話さなくてはと、自分の話をしがちです。その結果、相手が話しはじめているのに、その話をしっかり聞かず、相手の発言にインスピレーションを受けて、「そ、そうですね、私は〜」と自分の話をしたりするのです。

一方、雑談がおもしろい人は、一言での受け答えがNGだとか、そんな複雑なことは考えていません。とりあえず、数パターンあるあいづちのどれかを、即座に発しているだけだったりします。次の会話を見てください。

A:「昨日、久々に実家に帰ったんだ」
B:「(実家ネタを振られたけど、話すことあるかな?)へー、そうなんだ。僕は最近、実家にいつ帰ってたかな〜。えーと、去年の正月ぐらいだったかな?」
A:「(いや、そんないきなり自分の話を挟まなくても……)結構、帰ってないね。それで、うちの実家に帰ったら、家の中がガラリと変わってて、畳の部屋にソファーとか置いちゃってて(笑)」
B:「それ聞いて思い出した! 僕の実家も、見るからに洋風のカーペットを畳の上に敷いてたんだ! 変だから、注意してやったんだけどさ(と自分の話を続ける)」
A:「(あーあ、この人には、話そうと思ったこと、最後まで話せなそうだな……)」

ここでBさんは、短い受け答えではリアクションが足りないと考えて、自分の話をしているのですが、それが逆効果になっています。Bさんはあいづちのノリも悪く見えるうえに、自分の話をちょこちょこ入れてくるので、Aさんは話し始めた話をテンポよく話すことができません。Bさんはまじめに話しているつもりなのですが、これではとてももったいないですよね。この会話が、例えば次のような流れになると、どうでしょうか。

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