2つ目は、日系自動車サプライチェーンへの影響だ。自動車メーカーの生産停止(稼働率低下を含む)が長引けば、自動車部品・部材メーカーが影響を受ける可能性もある。
日系1次サプライヤーは湖北省で生産した部品を広州に立地する日系自動車メーカー3社(広汽ホンダ、東風日産花都工場、広汽トヨタ)に供給することもあり、逆に、華南地域の2次・3次サプライヤーが湖北省の日系1次サプライヤーに部材・パーツを供給することもある。
また、春節休暇で内陸部に帰省した出稼ぎ労働者の多くがそのまま音信不通になって沿海部に戻ってこないことは一般的である。今回の肺炎による移動規制に加え、生産再開時には、日系サプライヤーがワーカー不足の課題に直面すると見られる。
部品の生産・輸送活動を含むサプライチェーンの正常化が遅れると、湖北省の日系メーカーだけではなく、華南地域の日系メーカーにも影響を与えるだろう。
新車販売が大きく落ち込む可能性は低い
今回の新型肺炎の影響を受け、2020年1Qの中国GDP成長率は5%台に落ち込み、自動車市場にも影響を与え、新車販売台数は2020年1Qに前年同期比3割減となる見通しだ。ただ、新型肺炎が発生した直後、多くの移動手段が失われたなかで、交通機関の利用による感染リスクを考慮し、人々の足となるクルマの需要が高まっている。
新型肺炎が終息すれば、自動車生産・物流が回復し、自動車ディーラーの来店客も回復するはずだ。特に家族の移動に人気のスポーツ用多目的車(SUV)の需要や、中西部地域のファーストカー購入者が増加し、2020年通年の新車販売台数は前年を大きく落ち込む可能性は低いと思われる。
日系自動車関連企業は引き続き新型肺炎の動向を注視し、ワーカーの確保や部品・部材調達先の状況を把握する必要がある。
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