駅や電車、訪日客への「情報提供」は何が必要か 英語の案内板があっても見づらいことが多い

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筆者がしばしば訪れる中欧・東欧の列車も車内案内表示器の設置が進んでいる。約10年前は自動放送や車内案内表示機もない路面電車もあり、地図と指を使いながら目的地を確認したものだ。

ラトビアを走る旧ソ連製の近郊電車の車内(筆者撮影)

2017年にバルト3国のラトビアを訪れた際、103系と同時期に製造された旧ソ連製電車の車内にも簡易型の車内案内表示器があった。ラトビア語のみの表示であったが、大いに助かった。

車内案内表示器で表示される内容は日本とヨーロッパではあまり変わらない。ただし、ヨーロッパでは日本のように駅ナンバリングが実施されていない都市も多く、駅名だけが表示される。ドイツ語のように文字数が多い場合は不便を感じることもある。

車内案内表示器はどこに設置する?

車内案内表示器の設置場所も問題となる。近郊列車や地下鉄では日本とヨーロッパではそれほど違いはない。強いて挙げるとすれば日本は主にドア上に設置されるが、ヨーロッパでは日本の車両でいえば中吊り広告の箇所に見られることが多い。路面電車では大きく異なり、日本では車両端に設置されるケースが多いが、ヨーロッパでは車両中央や側面、窓枠にもあり、どの座席からも比較的見やすい

なぜ、路面電車では日本とヨーロッパで車内案内表示器の設置場所が異なるのだろうか。この差異は日本とヨーロッパとの精算方式の違いに起因すると予想する。日本の路面電車では「後乗り・前払い・前降り」が多く、降車する際は各車両の一番前の扉に行く。乗客は前方にある精算機で精算を済ませ、運転士や車掌がチェックする。つまり、降車の際に必ず通る精算機の近くに設置すれば効率がいい。特に意識することなく慣習として車内案内表示器の位置が決まったのだろう。

チェコ、プラハ市電(筆者撮影)

ヨーロッパでは「信用乗車方式」が採用されている路線もある。これは乗客自らが支払いを管理するため、原則として運転士による支払いチェックは行われない。乗客は近くのドアから乗り降りでき、各車両の前方に行く必要はない。そのため、どの座席からも見やすいところに車内案内表示器が設置されるのだろう。

先述した嵐電のケースでも見られたように、車内混雑時に前方にある車内案内表示器を確認することは難しい。日本の鉄道に乗り慣れない外国人観光客のためにも、車両中央に簡易型の車内案内表示器を設置できないだろうか。単車の場合は最後尾にある車内案内表示器の活用を望みたい。ただし、プラハ市電のように窓枠に設置されると、どうしても立客からの視線が煩わしい。筆者も座っている乗客がいない間に確認していた。

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