サイバー藤田社長、プロレス買収「2度目」の賭け AbemaTVでスポーツ分野を続々強化

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今年6月7日にはDDTとして年間最大の興行「レッスルピーターパン2020」がさいたまスーパーアリーナで開催される。今回は藤田社長が初めて実行委員長に就任。アベマTVでの中継も予定するが、動画配信という面だけでなく、大会全体の運営まで踏み込む。買収を受け、ノアの選手も参戦する予定だ。

そもそもDDTの買収でプロレス事業に参入したきっかけは、藤田社長とDDTの高木規(リングネームは高木三四郎)社長が共通の知人を介して会食の場で出会ったことにある。その際に高木氏がDDTの“お家芸”として知られる「路上プロレス」の映像を見せ、藤田氏がアベマTVのコンテンツとしての可能性を感じたという。

DDTは独自配信サービスも強化

DDTは先述の通りアベマTVのほか、自社開発の動画配信サービス「DDTユニバース」でも興行の中継やアーカイブ映像の配信を行っている。一部は無料で見られるが、月額900円を支払えば、すべての動画が見放題のほか、チケットの優先購入などの限定特典もある。

DDTが本屋で開催した「路上プロレス」。高木社長(左)も自ら参戦 (C) DDTプロレスリング

「会員はコアなファンが中心。今後はノアのアーカイブ映像も上げていく。一方、アベマTVでは新たなファン層を開拓していきたい」(前出のDDT幹部)

近年のプロレス業界は、IT企業ブシロード傘下の「新日本プロレス」が圧倒的な地位に立っている。年間の観客総動員数は約40万人。一方のDDTは6万~8万人、ノアは6万人ほどにとどまる。新日本プロレスは選手の個性を打ち出し、女性ファンが急増。グッズ販売などでも手堅く稼ぐ。

また新日本プロレスは2014年末からテレビ朝日との合弁で、月額999円で見放題の動画配信サービスを開始。現在の会員数は約10万人で、半数が海外からの加入者だ。DDTユニバースは会員数は開示していないが、こちらも加入者の約3割が海外からだという。

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