外国人の疑問!なぜ「桜見」でなく「花見」なのか 「日本語にほれ込んだ」アメリカ人の大疑問

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宮本:「ニホン」か「ニッポン」か。日本人もかなり感覚的に使い分けていますが、どちらでもいい場合は「ニホン」と発音されることが圧倒的に多いようです。「ニッポン」と発音する場面を数えてみると、そう多くないことがわかるでしょう。

これは、言葉が時代を経て、省エネを目指す傾向があることを示しているのだと思います。ニッポンという発音は破裂音でニホンよりも発音にエネルギーが必要ですね。そうすると、次第にニホンのほうが使われるようになっていくのは自然な流れとも言えます。

アン:なるほど! 省エネかぁ! それは、若者たちが使う和製英語や略語にも言えるね。

いつから「五輪」と呼ばれるようになったか

宮本:言葉を略すのは日本語の特徴でもありますね。例えば、オリンピックを「五輪」と呼びますが、これは1964年の東京オリンピックがきっかけです。

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アン:オリンピックの「オリン」と「ごりん」は音が似てるね?

宮本:そうですね。オリンピックが「五輪」と言われるようになったのは、当時の読売新聞の記者によるものでした。新聞の見出しに、6文字も使うのは長すぎる。何かいい略語はないかと考えたのがきっかけだったそうです。

五つの輪がオリンピックのシンボルですから、漢字がそれを表していますし、当時その新聞記者は、宮本武蔵の「五輪書」についての記事を読んでいたこともあり「これだ!」と思ったそうです。五輪という言葉は略語とはまた少し違いますが、短くする感性を日本人は持っているということでしょう。

アン:それは本当にそう思う。若い人たちと話していると、とくに略語ばかりで目が回りそう。

アン・クレシーニ 北九州市立大学准教授

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Anne Crescini

専門は言語学。アメリカのバージニア州出身。福岡県在住。研究と並行して、バイリンガルブロガー、スピーカー、テレビコメンテーターなどの活動をしている。西日本新聞にて日本の文化と言葉について博多弁で綴る「アンちゃんの日本GO!」を毎週、木曜に連載中。バイリンガルブログ「アンちゃんから見るニッポン」も話題。

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