外国人の疑問!なぜ「桜見」でなく「花見」なのか

「日本語にほれ込んだ」アメリカ人の大疑問

宮本:大衆に桜が好まれるようになったのは、江戸時代だという説があります。桜の「さ」は、田の神様を表します。「くら」は、神が座る場所。人々は、春が来て田植えの時期を迎える前に、山に咲き誇った桜を見て、そこに田の神が降りてきたと考えたのですね。神が宿る桜に向けて、お酒や食べ物をお供えするようになったそうです。

アン:桜の木に田の神様が宿るのか。ここにも日本特有の「八百万の神」の考え方が生きてるね。言葉の響きも「ハナミ」のほうが美しいしね。

宮本:そうですね。桜はパッと咲いて、サッと散ります。日本人は、桜の儚さや潔さに、生きる理想像を重ねたのかもしれません。「田の神様」という考え方もそうですが、日本人には、無宗教という感覚が強い人が多いのですが、実は、神道や仏教の影響を多分に受けています。

「いただきます」と「ごちそうさま」の意味

アン:アンちゃんはクリスチャンだけど、日本の神道の考え方には興味がある。「いただきます」も、本来はすべてのものに命が宿るとされていて、「その食材の命を私の命にさせていただきます」という意味よね。それを知ってから、食べ物を残さずにいただくようになった。おかげで摂食障害を克服することができた。

でも、最近はこの「いただきます」の意味を知らない人が多い。大学の生徒に聞いてみたけど、知っている学生は23人中1人しかいなかった。最近では、「給食費を払っているから子どもに〈いただきます〉と言わなくてもいい」と言っている親もいると聞くけど、「いただきます」は、日本の文化の象徴で、「生きる姿勢」そのものだと思うから、大事にしたいと思う。

日本語と日本の奥深さにどっぷりつかっているという、アン・クレシーニさん(写真:草野裕司撮影)

宮本:正しい日本語と一緒に、美しい日本の考え方を伝えていきたいですね。ところで、「ごちそうさま」の意味はわかりますか?

アン:「ごちそうさま」は、食事を出してくれた方への感謝の気持ちなんじゃないかな。

宮本:そのとおり。漢字で「御馳走様」。「馳走」とは「走り回る」「馬を駆って走らせる」という意味です。方々巡って食材を得て、料理を作り、もてなすために奔走する様子を表しています。そこから心を込めたもてなしや、おいしい食べ物、豪華な食事を意味する言葉になりました。「御」がついて丁寧語になり、「様」という接尾語がついてあいさつ語となりました。

アン:命をいただくことへの「いただきます」、もてなしてくれた方への「ごちそうさま」。本当に美しい日本語だね。

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