勝ち組の「ユニクロと無印良品」が露呈した弱点

悪化の理由は韓国、香港影響だけではない

ただ、ファーストリテイリングと同じく東アジア事業の不振が足かせとなった。良品計画は韓国で40店舗、香港で21店舗を展開しており、「(東アジア事業の不振の)最大の要因は韓国と香港の赤字転落。昨年末から売上高は回復しつつあるが、力強くはない」(良品計画の松﨑曉社長)。

売り上げが伸びたものの、今回の良品計画の決算では、東アジア事業以外でも、収益柱の国内事業や欧米事業などが軒並み減益に陥った。今期は一部商品の値下げや消費増税後の価格の据え置きがあり、期初時点で粗利益率の低下は見込まれていた。だが、売り上げ拡大でカバーできると考えた会社の想定以上に収益性が悪化。全社的に滞留在庫が増大し、処分のための値引き販売が増えたことが背景にある。

同社の商品在庫の膨張ぶりは、無視できない状況だ。貸借対照表を見ると、2019年11月末時点での在庫(商品+仕掛品+貯蔵品)は1105億円と、前年同期の868億円から3割弱膨らみ、3期前同期の661億円と比べると7割弱増加した。

平均月商に対する在庫の量を見ても、3期前の同期は月商の2.4倍、前期の同期は2.5倍だったのに対し、今期は3.03倍と増加傾向にある。このまま在庫が膨らみ続けると、今後も値引き処分を強いられる懸念があるうえ、在庫を保管するための物流関連費も増大する。

在庫の適正化が最優先の課題

在庫が急増している要因の1つは、売上高目標や消費増税の影響を考慮して、事前に商品の仕込みを強化したことにある。結果的に、食品は順調に売れた一方、とくに仕入れ量を増やした衣料品はアイテムによって売れ筋にバラつきが出ており、停滞が続く家具など生活雑貨は会社計画ほど売れなかったとみられる。さらに海外では、「販売計画に合った仕入れが正しくできていなかった」(松﨑社長)という。

海外展開を加速している無印良品は、今期だけでもフィンランドやスイス、オマーンに初出店し、日本以外で30の国と地域に店舗網を広げる。展開エリアや事業規模が拡大する中、どの店舗にどの商品をどれだけ配分するかなどといった商品投入のコントロールがうまく効かなかったようだ。

松﨑社長は「在庫の適正化は、今後も最優先課題として取り組む」と強調する。今年中に、販売計画に沿ったアイテム別の在庫管理が行えるシステムの導入を進める予定だ。今後の収益改善に向けては、システムを活用しながら在庫投入の精度を高められるかがカギとなる。

独自のブランドポジションを確立し、高い価格競争力を持つユニクロと無印良品は、グローバル展開に成功した日系ブランドの代表例とも言われる。今回の業績下方修正は、拡大基調を続ける両社が、足元を見つめ直すきっかけになったかもしれない。

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