岐路に立つジュピターテレコム(JCOM)、CATV王者の市場をNTTが侵食
ケーブルテレビ(CATV)最大手、ジュピターテレコム(JCOM)への逆風が徐々に強まっている。これまで中小のCATV事業者の買収を重ね、電話・インターネット接続のセット販売での顧客単価上昇により収益拡大を続けてきた。直近の2009年1~9月期も営業利益は前期比14%増加した。
ところが、足元では最大の強みである放送サービスで苦戦が目立ち始めている。背景にあるのは、もともと放送事業が「専門外」だった東西の通信会社との競争激化だ。
顧客流出に危機感 関西限定で値下げも
変調は価格戦略の動向から見て取れる。JCOMは今年4月、「お得プラン」を導入した(下表参照)。多チャンネル放送・ネット接続・電話の3セットを従来価格より約15%も引き下げたのが最大の売り。ところが、同プランは関西圏限定だった。
きっかけは同エリアでの予想外の苦戦にある。昨年11月に関西電力系の通信会社、ケイ・オプティコムが多チャンネルなどのセット価格を大幅に引き下げるキャンペーンを展開。JCOMと同等のサービスで価格差が2500円以上も開いたことで解約が相次いだ。