奨学金に「苦しむ人・苦しまない人」の圧倒的差 悪い例だけを鵜呑みにしてはいけない
子どもを持つ親なら、一度は「教育資金」について考えたことがあるはず。とくに気になるのが、高校卒業後の進学資金。世の中には「奨学金」があるけれど、最近は卒業後の返済に苦しむ話もよく聞く。ゆえに、若干の怖さはある。
そんな不安を解消すべく、奨学金アドバイザーの久米忠史氏に取材。毎年150回以上の講演や各種メディアで執筆するスペシャリストに、コトの真相を聞いてみた!
M-1を目指して奨学金を借りてはいけない
──奨学金を借りた学生が、卒業後の返済に苦しむニュースをよく見ます。ぶっちゃけ奨学金ってどうなんでしょうか? 子どもが借金で苦しむなら怖いなと……。
その気持ちはわかります。確かにこの類のニュースは最近多いですしね。ただ、奨学金制度に課題はありますが、その存在そのものが「悪」だとは言い切れないと思います。
──詳しくお願いします。
奨学金は、大学、短大、専門学校等への進学者なら借りられます。在学中は毎月お金が振り込まれ、卒業後に返済していくシステムです。
卒業後の返済は、社会人となった自分の収入から出すわけですよね。ただ、世の中には必ずしも「卒業したら一定の収入を得られる」とは言えない進学先がある。例えば声優や音楽、エンタメ系の専門学校。最近は「お笑い芸人養成コース」などもありますね。その入学者が奨学金を借りたらどうなりますか?
──活躍できるのはひと握りなので……。
返済に苦しむ可能性がありますよね。「M-1チャンピオンを目指して奨学金を借りる」とはそういう意味です。音楽もそう。パンクが好きで音楽の専門学校に行く。それはいいんですが、奨学金を借りた場合、卒業後に返済できる収入は確約されるのか。こういう例は少なくありません。