ジムニーが「カスタムの世界」で輝き続ける理由 東京オートサロンで数多くの改造車が展示

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ここまでジムニーのカスタムが多くなった理由の1つに、最近になって新規にジムニーを手がけたカスタムビルダーが多いことがあるようだ。その1つが、VIPカーと呼ばれる高級セダンのカスタムで知られているK-BREAKで、JIMRIDEという新たなブランドまで用意していた。

K-BREAK「JIMRIDE」(筆者撮影)

担当者に話を伺うと、もともとジムニーのオーナーであり、自分たちらしいカスタムができないかと考えた結果とのことで、ホイールはハイエース用に設定していたスティール製を装着し、ビレットグリルと呼ばれる細かい横ざんのグリルや専用設計のオーバーフェンダーなどによって、アメリカンな雰囲気を持たせたという。

エンジンチューニングでは、CAR STYLEのジムニーシエラが圧巻だった。カスタムカー業界では老舗と言えるTRUSTのターボを装着し、ノーマルの3倍近くにあたる300psを目指しているという。渋いモノトーンでまとめたスタイリングともども、ハイパフォーマンスを追求したカスタムであることが伝わってきた。

ジムニーが放つ「独特の存在感」

本家であるスズキも「ジムニーシエラ・マリンスタイル」と銘打った、マリンスポーツのパートナーに似合いそうなカスタムを出してきていた。

スズキ「ジムニーシエラ・マリンスタイル」(筆者撮影)

しかしスズキのブースには、モデルチェンジ直後のハスラーをストリートスポーツの基地に仕立てた「ハスラーストリートベース」や、同じスズキの大型モーターサイクル「KATANA」のイメージを「スイフトスポーツ」に重ねた「スイフトスポーツ・カタナエディション」などもあり、ジムニーが主役というわけではなかった。

これ以外にタイヤやエレクトロニクス系のメーカーも、ブースにジムニーを置いていた。そんな光景を見ながら思ったのは、ランボルギーニなどのスーパーカーと比べても、小さいけれど四角くて背が高いフォルムが独特の存在感を放っていたことだ。出展社438、車両800台というオートサロンにとって、この存在感は重要だ。しかもカスタムビルダーにとってもユーザーにとっても手が届きやすい。これもまた親近感を寄せやすいという意味で、注目の対象になる。

しかもジムニーには小型車枠のジムニーシエラもあるので軽自動車枠の制約を受けることはないし、前述のようにボディとフレームが別体であるなど、構造面でもカスタムに有利である。市販型はいまだに長期納車待ちという状況が続いているようだが、カスタムの世界でもしばらくジムニー人気は続いていきそうだ。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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