春名風花さんへのSNS「罵倒」投稿に問われる罪 SNS上での名誉毀損に、どう対処すべきか

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(2)業務妨害罪

刑法233条の業務妨害罪については「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定されています。

「虚偽の風説を流布し」とは客観的真実に反する噂や情報を不特定または多数の人に伝えることを指し、本件では「彼女の両親自体が失敗作」と書いていることに加え、例えば春名風花さんの仕事上での虚偽の噂などを記載している場合には、この要件を満たすと考えられます(人をだましたり、人の錯誤や不知を利用するという「偽計」に当たる場合もありえます)。

また、業務妨害に関しては、判例(過去の裁判例での解釈)上、実際に業務妨害の結果発生があったことまでは不要であり、業務妨害をするに足りる行為があればよいと解されています。

以上のことから、書き込みの内容によっては、本件投稿行為に関して刑法233条の業務妨害罪が成立しえます。

(3)脅迫罪

脅迫罪は、刑法222条1項において「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」と規定され、刑法222条2項において「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする」と規定されています。

本件では「彼女の両親自体が失敗作」と書いていることに加え、例えば春名風花さんや母親の身の危険を感じさせるに足りる記載がある場合には、本件投稿行為に関して刑法222条の脅迫罪が成立しえます。

被害を受けた場合は1人で悩まないこと

ツイッターをはじめとするSNSやユーチューブをはじめとする動画投稿サイトのコメント欄で誹謗中傷等がなされることがありますが、これらは民事における損害賠償などの対象になりうることに加え、その行為に関して刑事罰が科されることもあります。

そもそも、対象者の心情を深く傷つける行為です。自らが書き込みなどを行う場合には、しっかりと考えてから行うことが望ましいと考えます。誹謗中傷などの書き込みを行ってしまったと考えた人は、自ら削除申請をしましょう。

対象者の方は、1人で悩まず、周囲の方、専門家に相談するとよいと考えます。とくに身の危険を感じる場合には、すぐに警察に相談することをおすすめします。

池田 大介 弁護士

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いけだ だいすけ / Daisuke Ikeda

東雲総合法律事務所所属。東京弁護士会・民事介入暴力対策特別委員会正委員。文部科学省原子力損害賠償紛争解決センター元調査官。取り扱い分野は刑事および民事、個人から法人までと幅広い。顧問先はマンガ出版社、アニメ制作、音響制作、メーカー、IT、不動産、介護事業等。著作物に関する商品化や電子書籍等、ビジネスに関する法的アドバイスを多く手掛ける。

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