岩崎社長がこのサービスを考案したきっかけは、前職のDeNA時代に「小さなスタートアップに転職したい」と考えたとき。そのときに気づいたのが、「一度フリーランスになり、いくつかのスタートアップを手伝ってから、転職先を決める人がたくさんいた」ことだったという。中の状況をよく知ったうえで、慎重に転職をする人が少なくない。
一方で、岩崎社長は、DeNAにも愛着があり、社内の友人に転職意欲があることを言うことができなかった。「本当はスタートアップの友達に誘ってほしかった。そんな経験から『信頼できる人だけにこっそり転職意欲を伝えられるサービスがあればいい』と考えた」(岩崎社長)。
2018年4月にサービスを開始すると、Twitterでつぶやいただけで、初日に700人の個人ユーザーが登録したという。採用アカウントのほうが少なかったことから、慌てて知人の起業家に声をかけて、増やしていった。
2019年12月現在、個人ユーザーは8000人以上。20代の後半がボリュームゾーンだ。採用アカウントは140社に上っている。ネット系のIT企業の担当者が多く、DeNAやサイバーエージェント、ビズリーチ、グノシーといった有名企業も多く名を連ねている。
副業期間があれば失敗は減る
スカウト返信率は58%と非常に高い。マッチングの実績も、これまでに約150人に上っている。大半が副業だが、副業を経由して、転職先を見つけた人もいる。
理系学生向けの就活・採用サービスを手がけるPOLの鈴木和人氏(仮名)はその1人だ。証券会社や人材会社で勤めた後、2018年4月からはフリーランスとして、複数の企業の手伝いをしていた。そのとき、YOUTRUSTにも登録し、POLからオファーを受けたという。3カ月間の副業期間を経て、2019年3月に正社員になった。
「採用担当者の渡辺さんが友人の友人だったので、ゼロから人間関係を作る手間が省けてすごく楽でした。副業期間に同僚とも意気投合でき、仕事が楽しくなった。週1~2回の契約だったのに、勝手に週6回入り浸っていました(笑)」(鈴木氏)
岩崎社長は、今後は、鈴木さんのような、副業から転職に至るユーザーを増やしたいといい、「同棲を経て結婚すると失敗が少ないように、転職も副業期間があれば失敗が減るはず。YOUTRUSTをスタンダードな転職手段にしていきたいと考えている」と、将来像を描く。
ネット上に虚偽の情報があふれかえり、何を信じていいかわからない今、友人関係は、数少ない信用できるルートだ。YOUTRUSTのような、友人を活用するサービスの流れは、今後、ますます加速するかもしれない。
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