Wii失速で業績が急下降、任天堂に新興勢力の影
ゲーム最大手の任天堂は10月末、2010年3月期決算見通しを大幅に下方修正した。売上高が前期比18%減の1兆5000億円、営業利益が同33%減の3700億円となる公算だ。
携帯型ゲーム機「DS」でブームを巻き起こした同社はここ数年、破竹の勢いで業績を伸ばしてきた。前期は過去最高純利益を更新。今期も従来は増益計画だったがここに来て一転、6期ぶりの減益となる厳しい見通しとなった。
業績後退の理由は、据え置き型ゲーム機「Wii」の失速だ。DSと並ぶ収益柱のWii は、06年の発売以降、順調に販売を伸ばし、前期末に累計販売台数5000万台を突破。だが、この4~9月期は前年同期比43%も減少。つれて関連ソフトの販売も落ち込む散々な結果となった。
「これを失速と言わなければ、『能天気』と批判されても仕方ないでしょう」。決算発表当日に開かれた説明会の席上、岩田聡社長は率直に語った。前期投入したソフトをロングセラー化できなかったことなどをその原因とした。
問われる次の一手
Wii のブレーキは「(今期前半に)有力ソフトを出せなった影響が大きい」(野村証券の桜井雄太シニアアナリスト)と、一時的現象との見方もある。年末の最大商戦を控えて10月に5000円の値下げを実施。11月15日には大型ソフト「NewスーパーマリオブラザーズWii」を欧米で投入する(国内は12月)。これらが販売を押し上げることは間違いない。
ただ、威勢を完全に取り戻すのは難しいのではないか。