外見同じで工費安い、駅「ホームドア」新時代に 重量軽い素材導入で実現、京三製作所が開発

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例えば、ナブテスコは二重引き戸によって開口部を拡げた「大開口ホームドア」を開発。日本信号やJR西日本グループのJR西日本テクシアは、ドアの代わりに数本のロープを張ってホームからの転落を防ぐ「昇降ロープ式」と呼ばれるホームドアを開発している。

また、ロープではなく、バーを採用することで上下ではなく左右に開閉するタイプのホームドアを日本信号と音楽館が共同開発している。

日本信号が開発した昇降ロープ式ホームドア(撮影:尾形文繁)

ロープ式やバー式のホームドアは従来型よりも軽いという特徴もある。一般的なホームドアの重量はドアと戸袋の組み合わせという1単位でおよそ500kg。ホームの構造がそれだけの重さに耐えられず、ホームドアの設置に際して補強工事が必要なケースも少なくない。

しかし、日本信号のロープ式ホームドアの重量は1両当たり1000kg以下。従来型ホームドアの重量は4ドア車の場合1両当たり2000kgとなるので、重さは約半分となる。軽量化によってホームへの負担が軽くなり、補強費用はその分減る。JR東日本グループのJR東日本メカトロニクスが開発したフレーム式と呼ばれるホームドアも軽量化による設置コストの低減を売りにしている。

見た目は同じで重さ半分

国のホームドア整備促進に向けた取り組みは2021年度以降も続くだろう。これまではドア位置の違いやホームの補強費用がネックとなって、ホームドア整備が先送りとなっていた駅もあったはずだ。

ただ、昇降ロープ式やバー式のような新型ホームドアの登場が新たな主役になるかというと、そう単純な話でもない。視覚障害者団体などからは、「白杖がロープに引っかかる」といった指摘が出されている。目が不自由な人にとっては一般的なホームドアと違う形状はわかりにくいということもある。

そんな折、京三製作所が従来型と同じ見た目にもかかわらず、重量が約半分というホームドアを開発した。開口部の形状や素材の違いによって3タイプあり、5本のパイプを配置した「パイプタイプ」、小さな穴を開けた金属製の板を使った「パンチングメタルタイプ」、ガラスを使った「ガラスタイプ」がある。とくにガラスタイプは従来型と見た目がそっくりだ。

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