アベノミクス後、政府は景気判断基準を変えた AIが示す現状は「景気は厳しさを増している」

✎ 1〜 ✎ 39 ✎ 40 ✎ 41 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

次に、基調判断の文章を5段階で分類してスコアを作成してみた。「回復/緩やかな回復」は5、「持ち直し」を4、「横ばい」を3、「弱含み」を2、「悪化」を1などとした。これで、実際の基調判断とアベノミクス前のモデルが生成した文を比較すると、スコアの推移がかなり異なることが分かった。

具体的には、モデルが生成した文章のほうがCI一致指数と連動していることが分かった。つまり、アベノミクス前まではCI一致指数に連動した基調判断が発表されていたとみられる一方、アベノミクス以降は基調判断の判断基準が強気化したことで連動性がなくなってしまったようである。

今後、政府がどのような基調判断を発表するかは定かではない。アベノミクス以降のデータだけでは少ないため、精度の高いモデルを作成することは困難だからだ。だが、景気動向を見極める材料として月例経済報告での「基調判断」は有用性が低いと考えておくべきだろう。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事