行政文書を捨てない「ドイツ」のアーカイブ感覚

専門の教育を受けているアーキビストがいる

アーカイブは延々と保管すべきものが増えていく(筆者撮影)

公文書のずさんな扱いが露呈する日本。一方、欧米の国々の公文書管理、ひいてはそれらを保管しておくアーカイブが充実している。公文書の扱いに関する制度整備を見ることも大切だが、制度の背景には歴史観や国家観、デモクラシーといったことがある。ドイツの例を見ながら考えてみたい。

後世に残す文書はアーカイブの専門家が選ぶ

日本は公文書の扱いや、それらを永続的に保管するアーカイブの位置づけが脆弱である。これは専門家のあいだで度々指摘され、主に欧米を見ながら、法整備が少しずつ行われてきた。筆者が住むドイツも参照にされる国のひとつだ。

現在のドイツ連邦アーカイブは1952年に発足。1949年以降の連邦の記録、ドイツ帝国/ドイツ民主共和国、旧東ドイツ、軍事、フィルムといったように扱う部門がある。実際の施設はドイツ全国8箇所に分散しており、ドイツ西部の人口11万人の都市、コブレンツがその本部だ。

永久に増え続ける文書類、デジタル化などの新技術への信頼性、旧来の紙やフィルムの経年劣化との戦いなど課題は多い。それにしても、連邦政府のすべての記録は同アーカイブに渡されることが法律で義務化されている。そして大切なのは、後世に残すべきかどうか判断する権限は政府ではなく、アーカイブにある点だろう。

アーカイブは誰でも利用可能だ。すなわち、収蔵された行政文書で施策をたどることができる。政府側からすれば情報開示である。これらはデモクラシーとも重要な関係がある。

どういうことかというと、デモクラシーの国では選挙の投票がある。これは政治的な「自己決定」のひとつだが、大切なのはそこへ至るための意見形成だ。場合によっては「投票率」よりも重要なことである。そのためには正しい情報が必要で、時には過去の行政文書にあたる必要性も出てくるだろう。このときにアーカイブが力を発揮する。

次ページアーキビストの資質
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 財新
  • 今見るべきネット配信番組
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT