フェラーリ・ローマは走りもスタイルも絶品だ 日本で2020年夏頃に発表される新型車の凄み
マンツォーニ氏によると、「250GTベルリネッタ・ルッソ(1958年)や250GT 2+2(1960年)といった歴史的なGTモデルの流れにあるスタイリング」だそうだ。フロントグリルも目立たず、リアには大きなエアスポイラーもなく、グラマラスと言いたいフェンダーのふくらみと、きれいな弧を描くウィンドウグラフィクスが強く印象に残る。
クルマ好きだとおそらく一目で好きになるスタイリングだ。画像を見たときは、少々アストンマーティンぽいのでは、と思ったけれど、実車はフェラーリならではの個性がある。「(ローマの目抜き通りである)ベネト通りを、あまり目立たないように走りたいが、フィアットではちょっと……という人に向けて、日常的に使えるフェラーリとして開発しました」と、前出のマーケティング担当、ガレリア氏は語る。
ベネト通りには、フェラーリが招待したジャーナリストに用意してくれたホテルがあり、そこから目と鼻の先に、“かの有名な”と付けたい「ハリーズバー」も。フェデリコ・フェリーニの名作映画「甘い生活」でしばしば登場するレストラン・バーだ。
今回の「ローマ」のキーワードにもなったこの映画では、ゴシップ紙の記者を演じていたマルチェロ・マストロヤンニはいつも華やかな雰囲気が強調されたベネト通りを流していた。当時はチネチッタという映画の撮影所もローマにあり、イタリアのみならず英米仏それに独などの俳優や映画人がローマにあふれていた。
「ローマ」の仕様は?
その頃をフェラーリでは「自由で楽しかったよき時代」と呼び、今回の「ローマ」のイメージを重ねるのだった。車両のベースはホイールベースが同一の「フェラーリ・ポルトフィーノ」だが、7割がたの部品が新設計で、車重も100キロ近く軽くなっている。
エンジンレイアウトはやはり「ポルトフィーノ」と同様。フロントエンジンで後輪駆動だ。ただし3855ccV型8気筒ターボエンジンの出力は20CV(イタリア式馬力標記で“ps”に近い)上がって620CV(456kW)に。ツインクラッチの変速機も、7段から8段になり変速タイミングなどがより速くなっているそうだ。
全長4656ミリのクーペボディーを持つ「ローマ」のパッケージをフェラーリでは「2+(プラス)」と呼んでいる。「2+」というのは、単なる2人乗りではない、という意味。実車をチェックすると、フロントシートの後ろには、シートが設けられている。子どもなら乗れるかなあという感じの広くはないスペースだが、荷物など置けるし、便利なはずだ。
荷物は独立した荷室にも多く入りそう。トランクリッドは地面にかなり近いところから開くので重いものの出し入れにも便利だし、ゴルフバッグも収納できそうだ。フェラーリでは、社内で手がけたという洒落たラゲッジのコレクションをトランク内に収めていた。
「ローマ」とは別会場で世界2カ所でしか買えないというレザージャケットの新作も公開。エンボスの入った鹿革を使ったフェラーリ特製のドライビングジャケットはステアリングホイールを握ったときの姿勢を前提にデザインされたといい、もちろん男女ともに用意されている。