出生数90万人割れは「少母化」が最たる原因だ 「既婚女性」が産む子の数は変わっていない

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そんな事実も知らない政治家が相変わらず「子どもは3人産んでください」などと簡単に言いますが、そもそも晩婚化して30歳で結婚した女性が、「3人目、4人目を産む」ためには、ほぼ年中妊娠と出産を繰り返さないといけないことになるのです。

はたしてそれがご本人のためにも、ご家族のためにも、生まれてきたお子さんのためにもいいことなのでしょうか? 少子化の最大の原因は「1人目の子を産む母親の減少」なのであり、元をただせば、それは未婚率の上昇に行き着くわけです。

真の少子化対策とは?

「だったら、婚姻率を上げればいいじゃないか」という意見もあるでしょう。しかし、そう簡単に上がるなら苦労はしません。今後も女性の未婚率は上昇し続け、2040年には20%が生涯未婚のままと予測されています。

さらに、結婚したとしても、『少子化は「未婚者の増加」だけが原因じゃない』という記事にも書いたとおり、無子夫婦の割合もつねに一定数存在します。2015年国勢調査でも、妻年齢15~44歳までの夫婦のうち2割は無子夫婦です。婚姻数も減っていますが、それよりもさらに母になる数が減っているのです。

子育て支援政策も大事であることは言うまでもありませんが、むしろそれは新しく子どもを産んでもらうためのものではなく、産まれてきた子どもたちを貧困や虐待という不幸なく健やかに育てるためのものであってほしいと思います。

そして、真の少子化対策とは、子ども1人にいくら支給という対症療法的なものではなく、「社会全体の経済力」を押し上げることではないでしょうか。

少なくとも未婚化が始まって以降、長くデフレが続き、日本の実質賃金は下がり続けています。これは先進国の中で希有な例です。結婚して子を産み育てられると確信するためには、少なくとも大前提として、今の若者たちが自分の未来の経済安定性を信じられる社会でなければならないと思います。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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