Nゲージより安い、「電車チョコ収集」の甘い誘惑 細かいこだわりがコレクター気質をくすぐる
実は早く集めたければ、製造元のHPからまとめて箱買いすることができた。とはいえ、車両指定はできないので全種類が確実に集まるかどうかは定かではない。
自力で全部集める、という目標を立ててしまったため、人知れず苦労していたが、昨年ついにギブアップ。最後の手段、製造元である大阪市の「株式会社 黒谷商店」に、直接買いに行くことにした。
黒谷商店は大阪JR環状線の天王寺駅から大和路線の1駅目、東部市場前駅徒歩10分の場所にある。同業のお菓子メーカーも多い地域だ。
初代の社長は鉄道に興味はなく、2代目の坂本純一さんがこの電車チョコのアイデアを思いついた。つい2年ほど前に引退し、現在の社長は3代目となる。
今回は電車チョコを考案した、先代の社長、坂本純一さんにお会いしてお話を聞いた。以下、大阪弁のイントネーションで読んでいただきたい。
――今日はコレクションできていない電車チョコを買いにきました。ようやく全部そろうと思うとうれしいです。
「ありがとうございます。そういうお客さまも結構お見えになりますよ。先日も、名古屋から親子で来店した方がいらっしゃいました」
販売開始は25年ほど前
――黒谷商店の創業はいつですか?
「創業は昭和23年。初代の頃から子ども向けの砂糖菓子やポケット菓子を製造販売していました。昭和35年頃からチョコレートがブームになりましたが、夏に溶けやすいため、粒チョコをコーティングしたチョコレートを作り、年中販売できるようにしたのです」
――電車チョコの中には、そのコーティングされた粒チョコレートが入っているのですね。電車チョコ自体はいつ頃から販売がはじまったのですか?
「私は現在74歳。50歳弱のときでしたから、25年ほど前ですね。私が電車が好きだったんですわ。子どもたちが喜びそうなお菓子はないか、と考えていて、思いついたのが電車チョコでした」
坂本さんは1944(昭和19)年生まれ。生まれてすぐ大阪から疎開した家が、近鉄沿線の真横だった。3歳くらいまで毎日、朝から晩まで聞こえる鉄道の音と姿が、すりこまれてしまったのだと思う、と坂本さんは言う。
その後、会社のある今の場所に移ってきたが、その頃は建物が周りにまったくなかったので、遠くを通る電車がよく見えたそうだ。
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