トヨタが静岡に創る「未来型都市」に映る危機感

世界中の知見集め、あらゆる最先端を詰め込む

トヨタは「Woven City」と名づけた(筆者撮影)

環境との調和やサステナビリティが前提とされた街。住民はロボット、センサー、AIなどの先端技術を通して、より健康的で良質な生活を送る。道路は、スピードが速い車両専用道ないし「eパレット」など完全自動運転かつゼロエミッションのモビリティのみが走行する道路、歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナードのような道路、そして歩行者専用の公園内歩道のような道路といった3つに分類。「eパレット」は人の輸送やモノの配達に加えて移動店舗としても利用される。

街の中心や各ブロックには公園・広場を作り、住民同士がつながり合うことでコミュニティが形成される。これらが、トヨタが打ち出した『Woven City』の姿です。

豊田社長は、プレスカンファレンスの結びに「『Mobility for All』に取り組む会社として、世の中をよりよくしていくために役割を果たさなければならないと考えている」「これは決して軽くはない責任と約束である。そして、この『Woven City』は、その約束を果たすうえで依然小さなものであるが、重要な一歩となる」と述べています。

CES2020のトヨタのブースでは、『Woven City』の完成模型やパネルが展示されるとともに、洗練されたイメージ動画も投影され、多くの来場客が熱心に見入っていました。

豊田社長が抱く「トヨタの危機感」

筆者は、トヨタによる『Woven City』の背景には、豊田社長自身が数年前から抱き、直接言葉にもしてきた「自動車業界は100年に一度の大改革の時代」「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬか」といった強烈な危機感が存在すると考えています。そこで、あえて豊田社長が抱いているであろう「トヨタの危機感」を筆者が整理するなら、次の10項目になります。

1. 自動車産業の構造・需給関係が変化し、業界全体の規模や販売台数が減少する恐れがある
2. 業界内外の競争で厳しい展開となり、自社のマーケットシェアが減少する恐れがある
3. 次世代自動車産業における競争のカギが、ハードからOSやサービスなどに変化し、テ クノロジー企業などに覇権を握られる可能性がある
4. 既存の自動車メーカーはハードの納入会社と化してしまう可能性がある
5. 中国や欧州のEVシフトが急速化している
6. 中国が推し進める新エネルギー車の対象からハイブリッド車を除外するなど、トヨタ狙いの動きが明らかである
7. EV化や自動運転化での短期間での収益化・量産化が読めない
8. CASEでの対応が最先端プレイヤーと比較すると出遅れている可能性がある
9. ライドシェアなど日本国内では規制で手が打てない分野は状況が見えにくく、会社全体として必要なレベルにまで危機感が高まらない
10. 次世代自動車産業においては巨大なトヨタや関連企業、関連産業の雇用を維持するのが困難となる可能性がある
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