JALへ最後の執刀、難題山積の深い病巣
10月29日午後、日本航空(JAL)本社にこもりきりだった再生タスクフォースは前原誠司国土交通相を訪問。分厚い最終報告書を手渡し、再建には企業再生支援機構の活用が適当である旨を伝えた。
「白紙にして見直す」--。前原誠司国土交通相による鶴の一声で、JAL再建を話し合っていた従前の有識者会議は即解散。9月下旬、新たに直轄組織として再生タスクフォースが立ち上げられた。リーダーの高木新二郎氏やサブリーダーの冨山和彦氏など5名のうち4名は、ダイエーやカネボウの再生に携わった旧産業再生機構OBらだった。
JAL本社25階の大会議室には弁護士や公認会計士、社内からは若手社員など多い時は総勢100人が集結。この1カ月の間、「不眠不休」(高木リーダー)で報告書の策定作業を続けてきた。
あいまいな位置づけ 再生チームの“権限”
財務・業務リストラを実行するため、10月下旬には債権放棄と債務株式化を組み合わせ、約2500億円の金融支援を日本政策投資銀行やみずほコーポレート銀行などの主力行へ提示。裏返せば、抜本的なウミ出しを行えば、ほぼ同額の資本不足に陥るということでもある。実質的な債務超過状態と危機の度合いを如実に示し、数千億円規模のファイナンスを引き出そうとした。