「神社を知り尽くす人」に聞く福を招く初詣の掟 こんなにも奥深い神社という世界

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神社庁に登録されている神社は8万以上。寺院も7万7000以上あり、日本の神社仏閣はコンビニよりも多い。渋谷さんが今まで訪れたのは、神社609社、寺院604カ寺に及ぶ。その中でとくに、「行ってよかった」と思える印象深い神社はどこだろうか。

福岡県にある宗像大社(写真:渋谷さん提供)

真っ先に挙げてくれたのは、福岡県にある宗像大社だ。

「航路や陸路などの“道の神様”として崇敬されてきたご祭神の宗像三女神が、沖津宮(おきつぐう)、中津宮(なかつぐう)、辺津宮 (へつぐう)の三カ所にお祀りされている神社です。

島全体がご神体で女人禁制の沖ノ島は、原則、神職しか上陸が許されません。そこで、その手前の大島に鎮座する中津宮へお参りしました。フェリーの屋根にまで波しぶきがかかる船旅で、日本神話の舞台でもある神社ですので印象深いですね」

もっとも大きい辺津宮崎は陸地の田島にあり、交通安全のご神徳でも有名なので、国内外の出張が多い人にはおすすめだという。

京都にある愛宕神社(写真:渋谷さん提供)

次に挙げてくれたのは、京都にある愛宕神社。全国の愛宕神社の総本社である。

「こちらの祭神は防火の神様です。嵐山からバスに乗って20分ほどのところから山を登っていくのですが、登りと下り合わせて往復5時間かかります。とにかくひたすら歩くしか参拝方法がない神社ですが、神職は毎日登るそうです。たまに遭難者も出るそうですが、それでも参拝者が多い。愛宕神社は上方落語(東京でもやりますが)の「愛宕山」の舞台になったところで、かつては参道には茶店や人家、学校などもありました。今は跡だけが残っています。そういうところも興味深かったですね」

では、渋谷さんが何度も参拝している、お気に入りの神社はどこなのか。

西多摩郡にある阿豆佐味天(あずさみてん)神社(写真:渋谷さん提供)

東京の西多摩郡にある阿豆佐味天(あずさみてん)神社です。9世紀に創建された都内でも有数の古社で、猫返しの神社として有名な立川にある同名の神社は、ここの分社です。

私がとくに好きなのは参道の桜並木。お花見の時期はとてもきれいですが、あまり人が来ないんです。それと、言葉では説明しづらいですけど、ずっといても飽きないほどすごく居心地がいいんです」

行列にイライラする初詣なら行かないほうがマシ

居心地のよさを感じるということは、やはり神様との相性も関係しているのだろうか。

「私はあまりそういうことは気にしませんが、琉球王国最高の聖地である沖縄の斎場御嶽(せーふぁうたき)に行ったときは、嫌われてるなぁと感じましたね。

道順を入念に調べて行って、バスの出発時間にも間に合ったはずなのに、バス停に着いたらバスが出ていってしまった後だったり、すごく拒否されていると感じました。でも、だんだんと受け入れてくれるのも感じました。どんな神様でもお参りしたいと思うなら、受け入れてくださいという姿勢で入れば問題ないとは思います」

人出の多い神社に初詣に行く場合、寒空の下で長時間並ばなければいけないこともある。それでもイライラせずに謙虚な気持ちで待ち続けることが大事ということなのだろう。

「でも人間には煩悩がありますからね(笑)。何時間も並んでまでお参りするのがつらいと思うなら、自分が住んでいる土地を守っている氏神様に参拝することをおすすめします。それとあわせて、自分の願いごとを叶えてくれそうなご祭神がいる神社に、気持ちよくお参りするほうがいい。いちばん大事なのはご祭神で、あとは自分が気持ちいいと感じるかどうか。初詣する神社のご祭神を知らない人も多いので、まずはそこを調べてほしいですね」

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