美食の都パリで日本食が更に人気になる仕掛け 料理の本場で農林水産省が仕掛けたイベント

拡大
縮小

多くの来場者が、日本人シェフたちの料理を口にする度に喜びに満ちているようだった。実際に聞いてみると「こんなに美味しいものを初めて食べた」、「柔らかいけど、食感がしっかりしている」「自分でも作ってみたい」と、嬉しそうな声が多かった。彼らがそのように感じているのは、パリで日本食の伝統的で奥深いうま味を堪能することができたからだろうか。

石原氏がふるまった「豆乳のパンナコッタ」(筆者撮影)

「皆さんに喜んでいただいたことが、私の喜びです」と、竹中氏は喜んだ。また、石原氏は「沢山の人が日本食に興味を持っていましたね」と驚きを隠せない様子だった。

竹中氏は、デモンストレーションを通じて日本食がフランス人にとって身近な存在になっていることを確信し、「フランスの方に日本に来ていただいて、本物の日本料理を感じていただきたい」と、期待を込める。

手島氏は、「パリで日本食を受け入れていただいているのが分かりますし、スーパーに一般の人たちが購入できる本物が並んでほしい」と話す。

そして、石原氏は「日本人はきちんとしていて繊細な作業ができます。これからはパリで日本文化の素晴らしさを伝えていきたい」と意気込んでいた。

日本料理の腕の世界一を決める外国人料理人たちの戦い

「Taste of Japan in Paris」の翌日、日本料理の世界一を決める「第7回和食ワールドチャレンジ」のパリ予選が開催された。ここでは書類審査を通過した6名の外国人料理人が、大根の皮むきと指定素材の調理をし、代表権1枠を競い合った。

パリ予選を見事に勝ち抜いたのは、Wojciech Popow(ヴォイチェフ・ポポー)選手(ポーランド)で、普段はイギリスのBeaverbrookホテルの日本食レスランで寿司作りに励んでいる。

第7回和食ワールドチャレンジのパリ予選で優勝したヴォイチェフ氏(筆者撮影)

優勝の決め手となった理由を、審査員をつとめた前出の竹中氏は次のように述べている。

「料理を作るときの食材への敬意、そして美味しく食べていただこうという気持ちが日本人的であったと思います。

強すぎず、しかも主張のある味付けや美しい盛り付け、そして繊細な彩りと香りの使い方などが、他の選手と比べても群を抜いていました」

ヴォイチェフ選手は、2020年2月に東京で開催されるワールドチャレンジにパリ代表として出場する予定だ。

農林水産省は、日本食と日本産食材が世界各地で認知・拡大されるように、今後も日本食のデモンストレーション、セミナー、コンテスト等のイベントに力を入れていくという。

今回のパリの取り組みのように海外のどこに行っても日本食を食べることができる日が、着々と近づいている。

佐久間 秀実 スポーツライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さくま ひでみ / Hidemi Sakuma

1976年生まれ。楽しさ・喜び・感動を伝えたい‼︎トップアスリートや著名人に単独インタビュー。国や企業についても執筆。趣味はランニング、サッカー、卓球等のスポーツ。浦和レッズユース第1期生。琵琶湖を徒歩1周(3日)。プロフィール写真は、龍馬の生まれたまち記念館(高知県)で撮影。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT