ファスト食VS.地産地消でフード離婚 "右”と”左”、なぜ理解し合えないのか

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東京・青山の国連大学前広場で毎週末開かれる「青山ファーマーズマーケット」。約50の野菜農家やパン屋が出店するこのイベントのコンセプトは「『よい生活』は、『よい食事』から。」だ。ロマネスコやちりめんキャベツなど珍しい野菜も目立つ。トマトが1個250円、きゅうりが3本で280円など、スーパーよりも高い野菜を楽しそうに買っているのは、カジュアルだが高級そうな服を着、子どもや犬を連れている家族連れが多かった。

ティラミスやナタデココなど、日本の食の流行史を描いた『ファッションフード、あります。』の著者で、フードジャーナリストの畑中三応子さんによれば、日本が空腹を満たすために「ハラで食べていた」時代から、ファッションやイデオロギーとして消費する「アタマで食べる」時代に突入したのは1970年代からだという。そして、その流れはゼロ年代から二極化の傾向を見せはじめたと指摘する。

「安倍政権は成長戦略の一環として、健康食品の機能性表示を現行の加工食品だけでなく、肉や魚、野菜などの生鮮食料品にまで規制緩和する方針です。こと、栄養に関して、ますます情報は増える。それを意欲的に消化し先鋭化する人たちと、まったく関心を持たない人たちに分かれるでしょう」

『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』の著書がある博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんは、日本の若年層にはすでにその傾向が出てきているという。

「昔は都市部と地方が二項分立していましたが、今は都市も田舎も関係ない。自宅の半径数キロの『地元』から出ず、昔からの仲間とのつながりを大切にゆるく暮らす、新保守層『マイルドヤンキー』が増えています。彼らが今後、消費のマジョリティーになっていくでしょう」

ファミレスでジモト愛

彼らは、地元に住みながらも、近くで作られた野菜や商品を消費するわけではない。巨大資本の大型ショッピングモールで買い物をし、全国一律のファミレスでご飯を食べながら「ジモト愛」を語るのだ。

「彼らは、生活圏を離れてまで選択肢を広げようとはしない。お祝いや記念日などハレの日の食事であっても、モールの中のふだんよりちょっといい店に行くぐらい。もちろん、消費行動を通じて、世の中を変えていこうという意識もありません」

10年後、あるいは数年後、日本の食を巡る思想地図はどう変わっているのだろうか。(AERA編集部:大貫聡子、写真:岡田晃奈)

※AERA  2014年3月10日号
 

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