プログラミングを楽々習得する子の学びのコツ 数学嫌い=プログラミングも苦手は間違いだ

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プログラミングの世界と聞くと、「緻密な計算ができる人が、高速で完全無比なプログラムを書き切る」というイメージがあるかもしれませんが、実際には「失敗の連続」で成り立つ、非常に泥臭い世界です。

とくに求められる機能が複雑になればなるほど、プログラマーが考え抜かないといけない範囲も爆発的に増え、「さすがにもう大丈夫だろう」と思っても、不具合が次から次へと起こります。その都度、原因を究明し、手直しをするという作業がプログラマーの主な仕事と言っても過言ではありません。

プログラム上の不具合を「バグ(bug、虫)」と言い、不具合を直す作業のことを「デバッグ(debug)」と言います。目に見える現象を手掛かりに仮説を立て、検証の仕方を考え検証する。「デバッグ(debug)」は、プログラミングの醍醐味なのです。バグは、先入観に起因する場合があります。

つまり、「先入観を疑う」。その癖を身に付けることも、プログラミング教育において重要な目的の1つです。それを踏まえると、親が子どもにプログラミングを教える際に注意すべき点が挙げられます。大きく次の2点です。

①失敗を責めない
②答えを言わない

失敗に気づくことは正解への1歩

①は、まさに、失敗から学んでいくことが重要なので、失敗(間違い)を責めてはいけません。「失敗は当たり前」という感覚を植え付けてほしいと思います。そして 「失敗に気づくことは正解に近づくための大事な一歩である」という感覚を子どもたちに伝えてほしいのです。

大人に具体的にできることは、必要以上に口を出さないことです。子どもが、プログラミング教材をやっていて、もし間違ったとしても責めてはいけません。大人も「残念。じゃあ、どこを直せばいいかな?」と淡々と反応しながら、うまく思考を誘導してあげるだけでいいのです。そして、最終的に正解に辿りついたときに「やったね!」と一緒に喜びを分かち合い、小さな成功体験を積み上げていってほしいのです。

②は、プログラムをつくっていく際、ただやっているだけではあまり意味がありません。本当の意味で考え抜くというのは、自分が「こうだろう」と思っていた先入観に気づき、それをどんどん更新していくことです。

プログラミングと先入観は非常に密接な関係にあり、プログラミングで起こりうる不具合は、プログラムを書いた人の先入観で生まれるものです。わざわざ不具合を残してプログラムを書く人はいないので、「できた!」と言っている時点で本人は完璧なプログラムを書いたと思っているはず。それでも不具合が起きるのは、自分の想定外のことが起きるからです。

「何が想定外だったのか?」「何を思い違いしていたのか?」「どうやったら正しくできるのか?」

こうしたことを粘り強く考えていくことで、子どもたちに「考え抜くって簡単じゃないんだな」「でも、頑張って考え抜いたら、いずれ正解に到達できるんだな」と気づいてもらえます。

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