もはや日本が「消費増税」から逃げられない理由 「普通に働く」中流階級こそ社会保障が必要だ
税を語れば嫌われる。僕だって嫌われたくない。だが、先の北欧の例でもわかるように、税の使い道を徹底的に議論すれば、より幸福な社会を実現することはできる。だからこそ、僕は消費税を柱としながら、これを所得税の累進性強化、減税続きの法人課税の復元、金融資産や相続財産への課税強化、逆進性の強い社会保険料の改正等で補完する方向性を示してきた。
しんどいのは、左派野党を中心に消費税への反発が強いことだ。ここでも僕は孤立することとなる。だが、ライフ・セキュリティを本気で行おうと思うのなら、消費税は外せない。
消費税を1%引き上げると2.8兆円の税収があがる。一方、1237万円超の所得税率を1%上げても1400億円程度の税収しか生まない。あるいは法人税率を1%上げても5000億円程度の税収に止まるのが現実だ。
富裕層や大企業への課税のみでは変革は遠のく
ライフ・セキュリティを実現しようと思えば、さらに6〜7%の消費増税が必要になる。所得税なら120〜140%、法人税なら34〜39%の引き上げが必要になる計算だ。ケタちがいの税収を生む消費税を選択肢から外し、富裕層や大企業への課税のみで社会変革を語るとすれば、むしろ社会変革は遠のいてしまう。
消費税批判の前提には大きな誤解がある。ノースウェスタン大学のM・プラサド教授に聞いてみよう。「貧困と不平等の削減に最も成功した国々は、富裕層に課税し、貧困層に与えることでそれをやり遂げたのではない」(March 7, 2019, New York Times)。これは日本の外で財政を学ぶ者にとって常識的な理解だ。
消費税を軸としながら、豊富な税収で積極的な分配政策を実施する。そして、富裕層や大企業への課税を通じて、消費税の上げ幅をできる限り下げていく。これが最も現実的な選択肢なのである。
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