ボルボ、「新型車」が出なくても成長が続く根拠 日本法人の社長が明かした「苦悩と希望」

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「ボルボは、他の輸入車ブランドと比べるとラインナップは少ない。プラットフォームは2つ(SPA/CMA)、エンジンは4気筒2.0Lのみですからね。そこで私が強く言っているのは、『品数が少ない=商品について深く知ることが可能=CSを上げるチャンス』だと。さらに、グレード体系も単なる松竹梅にはしていません。その辺りは元商品企画担当なのでうるさく言っています。今後は現在、ラグジュアリー仕様のInscription の上を行く『 Inscripti on Plus 』の設定を検討しています」

先に「100店舗2万台」という話が出たが、現在全国に95店舗あるディーラーの改革はどのように考えているのだろうか?

11月に発売された「S60」の上級グレード「Inscription」(写真:ボルボ)

「実はこの5年で、11資本にやめてやめていただきました。地方に行くと1県1店舗という地域もありますが、都心部では複数店舗展開も定着し、結果としていいディーラーだけが残りました。レベルは5年前よりも上がって安定していますが、こればかりは特効薬がないので教育を続けています。加えて『買い方の新しい提案』も行っています。すでにカーリースの『スマボ』を展開中ですが、S60の発売タイミングで全面的な見直しをしました」

3年ごとに新車に乗れる「スマボ」

日本では、カーリースを受け入れられない人が多いと聞くが、ボルボの今年1~9月の実績を見ると、販売台数の約12%がスマボでの契約だそうだ。そんなことから、S60の販売を皮切りに進化版の「スマボ2/3」「スマボ3/5」を導入。具体的には、登録諸費用や毎年の自動車税、メンテナンス費はもちろん、新たにタイヤ補償やボディ/ホイール傷補償、ドライブレコーダーなどがセットになっている。

また、「スマボ2/3」は2年後から、「スマボ3/5」は3年後の初回車検時から車検代程度(約20万円)の精算金でボルボの新車への乗り換えも可能だそうだ。

「統計を取ると、ボルボユーザーの平均保有年数は8年ですが、その一方でスマボのユーザーを分析すると3年で車検を取らずに買い替える人が多くいました。つまり『フタコブラクダ』だと。スマボユーザーはクルマを大事に使ってくれるので、結果としていい中古車が市場に流れ、そちらの流通もよくなるメリットも出ています。実は前年比8%増の新車販売に対して、中古車販売は前年比12%増です」

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