ボルボ、「新型車」が出なくても成長が続く根拠 日本法人の社長が明かした「苦悩と希望」

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縮小

「2021年ごろに狙いにいくつもりでしたが、V40の後継モデルがないので……。今の考えは『安定的に2万台を実現』が目標です。ディーラー網を他ブランドのように増やして台数を稼ぐ考えはなく、『2万台÷100店舗=200台/店』程度が、各ディーラーの安定経営をしてもらう適正値かなと考えています。われわれが、メルセデス・ベンツさんのように売れるようなことは絶対にありませんので(笑)」

確かに現在のトレンドは、ハッチバックよりもクロスオーバー。V40の事実上の後継モデルが、SUVのXC40であるとも言えるのだが、日本市場での使い勝手を考えると、もう少し小さなモデルも欲しいはず。スクープサイトにはよりコンパクトサイズの「XC20」の存在もウワサされているが?

実質的な「V40」の後継モデルとなるSUVの「XC40」(写真:ボルボ)

「日本サイドとしては、ぜひとも造っていただきたいですよね。ボルボの悪いところは『先を見すぎているところ』。確かにクロスオーバーでハッチバックユーザーを賄えるのもわかりますが、いきなりやめるのではなく、もう1世代ぐらいやってよ……とは思いますね」

「また、新しいリースプログラムの『ケア・バイ・ボルボ』や電動化なども発表済みですが、もう少し直近のビジネスも見てほしいですね。そういう意味では、将来ビジョンに対するアクションが大胆すぎるかもしれません」

国産セダンからの代替えを狙う

11月に発売されたS60は、セダンボディを採用する。日本では縮小傾向のカテゴリーだが、ボルボはそこを逆手に取る戦略である。

「実はS60は、日本車からの代替えを狙っています。市場の縮小で国産セダンは減る一方で困っているユーザーも多いと聞いているので、そのようなユーザーを獲得できればと思っています。『クラウン』や『スカイライン』の価格のボリュームゾーンは500万~600万円なので、勝負はできると信じています」

とはいってもいまだに『輸入車は壊れやすいので心配』と躊躇する人も少なくない。あまり知られていないが、ボルボは輸入車初となる5年保証を謳っている。これは、他の輸入ブランドが追従していない、大きな特徴の一つでもある。ボルボの信頼の証しだ。

しかし、新車攻勢が落ち着いた今、販売台数を維持するためにはさまざまな改革も必要となるだろう。何か秘策はあるのだろうか?

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