いじめられても絶対に学校を休まない子の心境 小中高、泣きながら学校に行き続けた

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しだいに私は「自分はダメな人間なんだ」と思うようになっていきました。勉強はできないし、クラスメートからは、私が何をしても、学校が変わっても仲間はずれにされるんです。

どうしてそんなことになるのか。それは「自分がダメだからだ」、という理由でしか受けとめられませんでした。

「私はダメな子」。それが小学校から高校までを通じての自己イメージだったんです。

――そんなにつらいなかでも学校へ行き続けたのはなぜですか。

行きたくはなかったんです。でも、それはできなかった。「私みたいにダメな子は、学校を休んで一息つく、なんてことはしちゃいけないんだ」と思い込んでいたんです。

学校へ行って、勉強ができるようになって、みんなから認められていじめられないようになって、そしてちゃんとした大人になる。

それ以外の道は私には見えませんでした。楽しくて笑える人生も世の中にあることはわかっていました。

でも私は「できない子」だから、今のつらさを乗り越えなきゃ楽しい人生は歩めない。だから「がんばって戦わなきゃいけないんだ」、そう思っていました。

私にとって学校へ行かないのは「戦うのをやめる」ということで、その選択をしたら、その後に何が待っているのかまったくわからないことが怖くて、「行かない」ということはできませんでした。

だから毎日、泣きながら学校へ行き続けました。小学校から高校まで、ずっとそれが続きました。

なんとか空想で気持ちの整理を

――とても苦しい状況でしたね。自分のつらい気持ちはどうやってコントロールしていたんですか。

いろんな空想をして、なんとか気持ちをそらしていました。私は物語がすごく好きなんです。

だから、自分がお姫様になって人助けをするとか、そういうことばかり考えていました。頭のなかのことなら誰にも見られないし、自由でしたから。

ミュージカルや演劇も大好きで、それが心の支えになっていました。実際に6歳のころからミュージカルやダンスのレッスンを受けていて、数年前まで続けていました。

13歳のときには有名なミュージカル「アニー」に出演したこともあったんです。1万人のなかから、28人しか選ばれない子役です。パンフレットにも写真と名前が載りました。

「いじめられている私でも、『アニー』に出られるんだ!」とすごく勇気がもらえた出来事でした。

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