コストコの通販が「高い」と思う人の大きな盲点 送料だけでなくその分、従業員を働かせている

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299万円のマットレス+ベッドも買える(写真:コストコホールセールHP)

ではオンラインで注文した商品はどうやって自宅に届けられるかというと、実はコストコオンラインの従業員が行う作業は、週末にコストコを利用する私が行う作業と同じです。

仮に私がお店で買うのと同じ商品をコストコオンラインでオーダーしたとしましょう。従業員はカートを手にオンライン用の倉庫を回り、一つひとつ商品をピックアップする必要があります。だいたい15種類ぐらいの商品をそうやってカートに入れていくのです。そのうえで段ボール箱にパッキングをして送付状を梱入し、あて先ラベルを貼り付けて運送会社に引き渡すという作業が発生しています。

つまり発送にかかるコストは送料だけではないわけです。ではどれだけの追加コストがかかるのかというと、要するに週末に私が自分でやっている作業分は人件費としてかかるということです。

小分けで注文するならば妥当な価格

そして通販の特徴としては、おそらく自分で買い出しに行くのと違って1度の注文単位は少なくなるはずです。私がコストコオンラインで購入すれば2カ月に1度、3万円分を購入して6000円分割高になるのではないのです。そうではなくもっと頻繁に、例えば5回として1回当たり6000円分を購入して1200円ほど割高になるような買い方をするはず。

だと考えれば送料が800円(6000円の商品でもコストコ商品は結構大きいんです)、ピックアップの人件費が400円という内訳になっていると考えると1200円ほど割高なのは実に理にかなっていることがわかります。

結局のところ、コストコの特徴はやはり年会費からだけ利益をとる仕組みで、お店で買おうが、通販で買おうが、コストコはそれにかかったコストだけを受け取ってそこからは儲けようとはしていないのです。

しかし倉庫店で買う場合は、わたしたち会員が自ら働くことでコストコのコストを下げてくれています。だから安い。そして通販で買う場合は会員の代わりに従業員が働いてくれています。だから相対的には高い。それでもスーパーよりはずっと安いのです。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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