ライバルはiPhone--ゲームに構造変化の波
ソニー・コンピュータエンタテインメントは「プレイステーション・ポータブル(PSP) go」を11月1日に日本で発売する。すべてのゲームをネット経由でダウンロードするネット専用端末で、発売当初から400タイトルをそろえる。12月にはPSPの全機種向けに、「新世紀エヴァンゲリオン」など約100タイトルのコミック配信を開始。さらに、SNSをイメージしたコミュニティサービス「ルーム」も年末に始動する。多種多様のサービスでユーザーを囲い込み、ネットビジネスを拡大する戦略だ。
一方の任天堂。携帯ゲーム機「DS」では無線LANを活用し、商業施設などで道案内に使用できる。DSの無線機能を駆使した「すれ違い通信」を採用して大ヒットしたのが、スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストIX」。ユーザー同士が交流することで遊び方が広がり、シリーズ最高の400万本をすでに出荷した。任天堂は有料でソフト配信も展開するが、ネットの収益化が狙いではない。DSが標榜する「1人1台戦略」の一環で、あくまでもハード機拡販のためと位置づける。
対抗意識むき出しのハードメーカーに対し、ソフト各社はどっちつかずの洞ヶ峠を決め込む。
バンダイナムコはアイフォーン向けに「パックマン」など約20の有料タイトルと無料の数タイトルを世界10カ国語対応で供給する。コナミやカプコンなど大手各社も一様に、アイフォーンに配信中。既存タイトルの宣伝効果につながるとの狙いだが、各社とも本腰とはいえない。収益性の問題が大きく横たわるのだ。
目下のところ、すでに投入したタイトルを土台にしてアイフォーン仕様にアレンジする手法が中心だが、それでも「1タイトル当たりの開発費は数千万円単位」(バンダイナムコの福本正史NE事業本部長)。一方で、価格は100円から1000円が一般的。ここからソフト会社に入ってくるロイヤルティではとても開発費をカバーできない。「コンテンツ価格が2000円ぐらいになれば、商売として成り立つ」と、開発受託会社トーセの幹部は語る。