安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか
記者から憲法改正実現への道筋を問われると、「7月の参院選では『国会での憲法論議を進めよ』という国民の声が示された」と指摘し、その前段となる国民投票法改正案が臨時国会でも継続審議となったことを「まことに残念」と振り返った。
そのうえで「憲法改正は自民党の党是で、それを実行するのが私たちの責任。決してたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」と述べ、2021年9月までの自民党総裁としての任期中の新憲法施行への決意を改めて強調した。
さらに、桜を見る会での私物化疑惑については、「国民の皆様から批判があることは十分に承知している。これまでの運用を大いに反省し、私自身の責任において全般的な見直しを行っていく」とまずは低姿勢で応答。
預託商法問題で経営破綻したジャパンライフ元会長の「首相枠での招待」などの疑惑については、「(元会長との)個人的な関係は一切ない」「(廃棄された)招待者名簿のデータ復元は不可能との報告を受けている」などと、用意されたペーパーに目を落としながら国会答弁などと同じ説明を繰り返した。
内心の動揺を隠せない安倍首相
その一方、衆院解散については「参院選での国民への約束を実行しなければ、ということで頭がいっぱいだ」としながらも、「国民の信を問うべきときが来たと考えれば、解散・総選挙を断行することに躊躇はない」と記者団をにらみつけるように言い切った。
記者会見自体は「これまで通りの首相ペースで終始した」(官邸関係者)が、首相の表情は一貫して固かった。注目された私物化疑惑での説明や、遅々として進まない国会での改憲論議についても、応答は伏し目がちで顔をしかめる場面が目立ち、「強い言葉とは裏腹の内心の動揺」(立憲民主幹部)も垣間見せた。
こうした臨時国会の幕引きについて、安倍政権に批判的な朝日、毎日両紙は「『信なくば立たず』どこへ」(朝日)、「説明避ける最長政権」(毎日)などと手厳しかった。これに対し、政権寄りとされる読売、産経両紙は「憲法改正『私の手で』」(読売)などと首相を後押しし、私物化疑惑についても「不祥事追及…実り少なく、与野党に責任」(産経)などと野党の対応に疑問を呈した。
安倍首相が任期中の改憲実現に改めて決意を示したことについては、与党内から「求心力維持のためにも、『自分がやる』と言い続けるしかないが、内心は諦めムードでは」(自民長老)との声が出る。
また、「躊躇なく断行」とした解散・総選挙について、野党側は「年明け解散もありうる」と身構えるが、自民党内では「やれば負けて、政権のレームダック(死に体)化が進むだけ」(閣僚経験者)と、首相の強がりとの受け止めが少なくない。
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