VW「8代目ゴルフ」実際に乗ってわかった実力 2020年末以降に日本投入、何が進化したのか

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地域の壁による残念な話題がもう1つある。新型には彼らが「Car2X」と呼ぶ車々間通信、路車間通信を活用した機能が備わる。半径800m以内にある同じ機能をもつ車両と通信したり、信号をはじめとする交通インフラからの情報を取得することで、事故予防に役立つ情報をやりとりする仕組みだ。

自車が事故または故障で路上に停止した場合、他車のメーターにバーチャル三角板を表示して注意を促すほか、先行車両がブレーキランプを点灯させると、(ブレーキ操作の有無にかかわらず)即座に自車のブレーキランプも点灯し、後続車両にいち早く減速を伝え、追突の可能性を減じるのだが、EUと日本では通信規格が異なるため、この通信機能は現時点では日本では使えない。

横から見た新型ゴルフ(写真:フォルクスワーゲン)

古くは右ハンドル/左ハンドルの違い、最近では排ガス基準の違いから欧州車が得意とするディーゼルエンジンを導入できなかったことなど、輸入車ビジネスにはさまざまな課題があった。その都度各企業の努力で解決してきたほか、近頃は市場ごとの規制の違いをなくして輸出、輸入の壁を減らそうというワールドハーモナイズドの考え方が浸透してきたが、ここへきて通信規格や言語の壁など、新しい、しかし根本的な課題が発生してきた感がある。輸入車販売業者は何か新技術が実用化されるたびに新たな課題を抱えることになる。

使えない「ライフ」という名称

さてVWファンは「トレンドライン」「コンフォートライン」「ハイライン」というグレード名に長らく親しんできたが、新型ゴルフ登場を機に、それぞれ「ゴルフ」「ライフ」「スタイル」へと置き換わる。

最もベーシックなゴルフ(グレードのほう)でも、LEDヘッドランプおよびテールランプ、キーレススタート、デジタルコックピット、モバイルオンラインサービスなどが標準装備される。しかしここでまたもや日本仕様に関して問題がある。「ライフ」は国産自動車メーカーが商標をもっているため、国内ではその名称を使えない。インポーターは従来のグレード名の継続使用を含め検討中だそうだ。

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