VW「8代目ゴルフ」実際に乗ってわかった実力

2020年末以降に日本投入、何が進化したのか

試乗会では、日本仕様として予定されているモデルに乗ることができた。ガソリンの1.5リッターeTSI直4ターボは、何の気なしに乗ると現行型ゴルフの1.5リッター TSI直4ターボエンジンと変わらぬ印象。注意深く観察すると、マイルドハイブリッド用のモーターがさまざまな場面で渋く活躍していることに気づく。

発進時に一瞬最大50Nmのトルクを発してタイヤの転がり始めを助太刀し、減速時には同じモーターがエネルギーを回生し、次回の発進アシストに備える。アイドリングストップからの再始動時、モーターが威力を発揮し、振動のない再始動を可能とする。国産メーカーではスズキ、マツダ、スバル、海外メーカーではメルセデス・ベンツ、ジャガーランドローバーあたりがこぞって同種の機構を採用するが、用いる電圧が各社まちまちのためアシスト能力も異なる。

ディーゼル(TDI)の印象は現行型のそれに近い。発進加速、中間加速ともに2リッター前後の4気筒ターボディーゼルとして標準的な力強さを味わわせる。力感にあふれるタイプではなく、5000rpm近くまでシューンと気持ちよく吹け上がり、ディーゼルのわりには回転によって馬力を得るタイプだ。エミッション対策の変更は特に乗り味には影響していない。

静粛性の向上、ボディ剛性の高さ

印象的なのは車体の素晴らしさだ。まずガソリン、ディーゼルを問わず静粛性が格段に向上。驚いたことに高速走行時にのみならず低速走行時もディーゼルのほうが静かかもしれないと思わせた。ガソリンだからといって静かというわけではないと言ったほうが正確か。

新型ゴルフの後ろ姿(写真:フォルクスワーゲン)

街乗りで不整路面を通過する際にも、また120km/h前後で高速道路のコーナーを通過する際にもボディ剛性の高さを感じさせる。そこそこ高価格のクルマでも、何に起因するのかわからない振動を発するクルマもあるが、ゴルフにはそれがない。現行型は発売から7年たった現在も依然としてクラスをリードする乗り心地とハンドリングを得ているが、新型でまた一段レベルを上げた。つまりこれこそが、今後各社がこのセグメントで目指すレベルになるのだろう。

しかし新型ゴルフの進化の度合いは動力性能や環境性能よりも、ユーザーインターフェイスやインフォテインメントのほうが大きい。運転席まわりから物理的なスイッチを大幅に減らし、多くの操作をタッチ式スクリーンによって行うようになった。

また音声認識で呼び出し可能な機能も増えた。アレクサが組み込まれており、音楽やニュース、天気予報などを誰かに話しかけるように呼び出すことができる。ゴルフ自体のボイスコントロールも備わり、「ハロー フォルクスワーゲン」と呼びかけ、会話するように目的地設定やエアコンの温度調整などができる。ただし、アレクサは日本語対応の予定がない。ゴルフのボイスコントロールは導入までに日本語対応させてくるだろうが、集合知によって性能が変わってくるため、発売当初の認識能力がどの程度か気になるところだ。

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